エステサロンや美容室をはじめとした美容サロンの集客におすすめなのが、ライン(LINE)公式アカウント(旧ライン@)です。ライン公式アカウントとは、いわば法人向けのLINEサービス。ラインの手軽さを兼ね備えつつ、クーポンの発行やショップカードの制作ができるため、効率的なサロン経営が叶うかもしれません。
今回のコラムでは、サロン集客にも非常に有効なライン公式アカウントについて、活用するメリットやおすすめ機能などを解説していきます。
ライン公式アカウントはサロン集客に有効
身近なコミュニケーションアプリ「LINE(ライン)」。メッセージのやり取りをしたり、スタンプを送ったり、無料通話をしたりと、手軽にコミュニケーションがとれるのが特徴です。
プライベートで使用するラインアプリとライン公式アカウントはそもそもアプリが異なるため、ほかのSNSのようにアカウントの切り替え忘れなど、混同してしまうことが少ないのもメリットです。
ラインアカウントと公式アカウントの違いは?
ライン公式アカウントとは、店舗や企業用のラインアカウントとも考えることができます。そのため、ラインアプリには無い、独自の機能が備わっています。
通常のラインアプリと同様に、1対1のチャットに加えて
- メッセージの一斉送信
- クーポンの配布
- アンケート機能
など、ビジネスにも活用できるシステムが提供されています。
また、料金は3タイプあり(2022年12月現在)、フリープランは無料でアカウントが作成できるので手軽に始めやすいのも大きなメリットです。
フリープラン | ライトプラン | スタンダードプラン | |
---|---|---|---|
月額料金 | 無料 | 5,000円 | 15,000円 |
無料メッセージ数 | 1,000通 | 15,000通 | 45,000通 |
フリープランでは送信できる通数が限られています。開業初期はフリープラン、顧客数が多くなってきてからプランを引き上げるなど、事業規模に合わせてステップアップしていくのも良いでしょう。
ラインをサロン集客に活用するメリット
- 利用者数が多い
- 24時間、問い合わせや予約が受けられる
- 1対多数のメッセージが送信できる
- 手軽にコミュニケーションを取れる
ライン公式アカウントをサロン集客におすすめするのには理由があります。詳しく説明していきます。
利用者数が多い
ラインの月間アクティブユーザー数は約9,200万人(2022年3月時点)です。この数はInstagramなどほかのSNSと比較してもかなり多く、全世代の利用率は82.3%(※)にも渡ります。
※総務省情報通信政策研究所が2022年8月に発表した「令和3年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」の調査結果より
また、ほかのSNSと異なる点は、どの世代からもまんべんなく活用されていることも挙げられます。日常的に活用している方が多いため、メッセージを送ってもすぐに気付き開封してもらいやすいというメリットがあります。
24時間、問い合わせや予約が受けられる
個人サロンを経営していると、接客中で電話を取り損ねてしまったり、折り返しで連絡してもすれ違ってしまったりという体験をした方も多いのではないでしょうか。
ライン公式アカウントを導入すると、営業時間外にも予約できるようになり、問い合わせにも隙間時間にメッセージで返答できるため対応しやすくなります。これは、お客様だけではなく、われわれスタッフとしても大きな利便性を感じるポイントです。
1対多数のメッセージが送信できる
一斉送信が可能な集客施策として、メールマガジンやDMがあげられます。しかし、ライン公式アカウントには、メールマガジンやDMにはない2つのメリットがあります。
- 費用を抑えられる
- 送信後の分析を行いやすい
ハガキなどのDMは、最低でも郵便料金やハガキ代、印刷代が必要です。送信後の分析は、来店時にご持参いただき、後日手作業で集計を行います。メールであれば無料でできますが、開封確認を全てのメールで行うとなれば、集計するのに大きな手間が必要です。
ライン公式アカウントは、無料(1,000通まで)で送信が可能ですし、開封率の確認も可視化されています。タイミングや内容による開封率の変化など、分析も簡単に行うことができます。
手軽にコミュニケーションを取れる
ラインの特徴として優れたチャット機能が挙げられます。
お客様が、サロンで購入していただいた商品の使い方に迷ったらすぐに質問できたり、新メニューについての反応があればフォローできたりと、顧客との関係性をより強固にできるツールでもあります。
また、お客様自身も使い慣れているため「使い方が分からない」「使いにくい」という、問題も発生しにくいでしょう。ストレスなくコミュニケーションを取れるのが大きなメリットと言えます。
ラインをサロン集客に活用するデメリット
サロンの運営で大きなメリットがあるライン公式アカウントですが、デメリットも認識してから運用を始めましょう。
- 友だちに追加してもらいにくい
- 対応するのに手間がかかる
- 拡散性が低い
友だちに追加してもらいにくい
何もしなくても友だちが増えていくということはほとんど無いと思ってください。気軽なコミュニケーションツールではありますが、活用頻度が高いからこそ「不要な情報を避けたい」「連絡先を開示したくない」と考える人が多いのも理解できます。
プレゼントを用意するなど、友だち追加することでお客様にとってプラスになるような特典を付けて登録を促しましょう。
対応するのに手間がかかる
ライン公式アカウントの開設は無料で行えますが、メッセージの配信をしたり、クーポンのデザインを考えたりと、実際の運用には手間や時間がかかることを忘れてはいけません。500文字程度のメッセージでも、お客様に送る前には何度も校正を行う必要がありますし、数分で行うのは難しいです。
また、手軽にコミュニケーションが取れることが大きな魅力ですが、これは対応の細やかさが必要とも言い換えることができます。例えば、翌日の営業時間を越えても、問い合わせについての内容が無いなど対応遅れが起きると、信頼を失うことに繋がるかもしれません。
何人かのスタッフでお店を回している場合、空いた時間に誰かが返信するなど、大まかなルールを決めてしまうと、返信が漏れてしまうなどミスが起こりうる可能性があります。役割分担や返信時間を定めておくと、ミスなく運用できるでしょう。
拡散性が低い
SNSやブログと異なり、拡散性が低いというデメリットがあります。
ラインで配信されたメッセージには、Twitterのような拡散機能やInstagramのようなハッシュタグ機能はありません。そしてブログのように検索して表示されることもありません。
ライン公式アカウントは、来店していただいたお客様に友だち登録していただくという流れが一般的です。どちらかと言えば、情報を拡散させて新規のお客様を集客する方法ではなく、既存のお客様に向けたフォローの意味合いが高いツールとも考えられます。
新規のお客様向けにはSNSやブログの活用を行うなど、それぞれの目的や強みを生かして、運用を行いましょう。
サロン集客におすすめなライン公式アカウントの機能
それでは次に、実際にサロン運営に役立つ便利な機能を見てみましょう。
- メッセージの予約設定
- ポイントカード
- クーポン
- お客様情報の蓄積
- 属性の絞り込み配信
- リッチメニュー
- AIチャットボットの導入
- 動画メッセージ配信
メッセージの予約設定
一般的にお客様がアクティブな時間帯にメッセージの配信を行った方が開封率は増えます。ラインは比較的どの時間帯も使用するアプリですが、OLをターゲットとした美容サロンでしたら、お昼休みや仕事が終わった夜に配信するのが適切だと言えるでしょう。
ライン公式アカウントは予約配信が可能なので、サロンが営業時間中で忙しい場合も自動でメッセージを送信してくれます。
ポイントカード
ライン公式アカウントには、ポイントカードや会員証を一括化できる機能があります。紙のように紛失してしまうこともありませんし、新たにアプリをインストールする必要もないため、お客様の利便性を高めてくれます。
クーポン
公式アカウントで活用できるクーポンには以下の5つの種類があります。
- キャッシュバック
- 無料
- 割引
- プレゼント
- その他
さらに、抽選に関する設定もできるので、お客様にイベントに参加する感覚で気軽に楽しんでいただくクーポンを発行しても良いでしょう。
お客様情報の蓄積
登録していただいたお客様1人ひとりの情報をメモできる機能がついています。ラインでやり取りをしていた時に、確認が必要な事案やスタッフ内で共有しておきたいやり取りなどメモすることが可能です。
また、メモだけではなくタグ付けを行えます。誕生月でタグ付けしておけば、お客様に誕生日の特別クーポンの配布を行うなど、個別の来店アプローチを行うことができます。
属性の絞り込み配信
ラインのメッセージ配信は、「1対1」「1対多数」と単純な分け方だけではなく「属性の絞り込み」が可能です。
- 男女
- 友だち追加時期
- 年齢
など細かなセグメントができるためこの機能を用いて、友だち追加から1週間以内の顧客にお礼と次回のクーポンの配布といったメッセージの配信を行うこともできます。
また前述した、顧客情報のタグを使用してメッセージの一斉配信を行えるため、集客計画の効率化にも役立ってくれます。
リッチメニュー
リッチメニューとは、トーク画面に固定表示できる画像のこと。最大6つのリンクメニューを設置でき、ワンタップで予約やポイントカードに移動することが可能です。
お客様の導線を最適化するのは、Webでの集客を考える上で重要なポイント。より利用しやすいライン公式アカウントを目指し改善を行いましょう。
AIチャットボットの導入
LINE公式アカウントにAIチャットボットを導入することで、お客様からの問い合わせに迅速かつ正確に対応できるようになります。
AIチャットボットは、よくある質問への回答や予約受付、クーポンの案内などを自動で行うことができ、スタッフの負担も減らせますし、お客様に迅速に必要な情報を届けることも可能になります。また、24時間対応が可能となり、営業時間外でもお客様のサポートが行えるのが大きなメリットです。
動画メッセージ配信
動画メッセージの配信機能を活用することで、テキストだけでは伝えきれない情報を視覚的に伝えることができます。
新商品の紹介や施術の手順を動画で解説することで、お客様がより興味を示してくれたり、理解しやすくなります。動画コンテンツは、画像やテキストよりもエンゲージメントを高める効果が期待でるため、手間やコストはかかりますがおすすめです。
友だち登録をしてもらうポイントは?
ライン公式アカウント活用の成功のカギを握るのは、どれだけお客様が「友だち登録」をしていただけるかです。ライン公式アカウントが優れたツールでも友だち追加していただけなければ意味がありません。
- メリットの準備
- 声掛け
- ホームページ、POPなどに記載
メリットの準備
飲食店で「ラインの友だちになったらドリンク一杯無料」というサービスを見たことはないでしょうか。
友だちの追加を行うことでどんなメリットが得られるのか不明な場合、進んで友だち登録してもらえることは少ないです。友だち登録をすることで得られるメリットを準備しておきましょう。
アカウントを作成したばかりで、登録者数を増やしたい時などはクーポンや割引を行うのが一番効果を感じられる方法です。しかし、安直な割引ではなく、自店のオリジナリティを用意しておきたいところ。
- 新メニューをモニター価格で提供する
- 試供品のサンプルプレゼントを行う
などが美容サロンでおすすめです。
また、サービスだけではなく、お客様が読みたくなる情報を配信するのもひとつ。マッサージなどを行うリラクゼーションサロンであれば、肩や首など部位ごとに簡単なストレッチの紹介や顔のむくみを取るケア方法など、ノウハウの提供を行うのも、お客様が友だち追加するメリットに繋がります。
声掛け
来店時に友だち登録のメリットをお話しし、友だちの追加をお願いしてみましょう。来店している最中が一番追加してもらいやすいタイミングです。直接依頼をすると、スムーズに登録していただけることがあります。
その場で使える特典などがあれば、お客様の反応なども直接確認できるため、ライン公式アカウントの運用改善に生かすことができるでしょう。
ホームページ、POPなどに記載
レジ横や待合室に掲示されたPOPにQRコードを載せたり、ホームページにバナーを追加したりと、ほかの販促物と組み合わせてPRを行ってください。
QRコードやアカウントIDだけではなく、先に述べた通り、友だちを追加することで得られるメリットも記載しておくと良いでしょう。
ライン公式アカウントの運用で気を付けたいポイント
サロンで実際運用するにあたって、プライベートで使用しているラインのように活用するのはNG。公式アカウントは企業や店舗からの発信のため、いくつか気を付けたいことがあります。
- 送信頻度に気を付ける
- 読みやすい文章になっているかチェックする
- 予約システムなどはLINE連携ができるもの選ぶ
- プロフィールを充実させる
- パーソナライズされた情報を発信する
送信頻度に気を付ける
無料だからといって、メッセージをむやみやたらに配信するのはやめましょう。頻度が高かったり、深夜に送ったりすると迷惑に感じられてブロックされてしまうこともあります。一斉送信については多くても週1程度に抑えるのがベターです。
また、内容はキャンペーンや新メニュー、新商品など来店を促す内容ばかりではなく、登録してくださったお客様が喜ぶような情報を発信することを心掛けてください。
読みやすい文章になっているかチェックする
DMやメールマガジンと同じく、誤字・脱字・間違いには重々気を付けなければいけません。また、読みやすい文章になっているかチェックしてから配信を行いましょう。最低でもチェックしたいポイントは以下の4点です。
- 適度に改行する
- 絵文字や顔文字を使用する
- 配信時に確認できる1行目にこだわる
- 誤字脱字、情報の誤りが無いか確認する
できれば、チェックは自分だけではなくスタッフや知人にも依頼すると安心です。漏れないようにチェックリストを作成するのがおすすめです。
予約システムなどはLINE連携ができるもの選ぶ
お客様とのやり取りがスムーズなラインですが、ライン上で予約を管理することは困難です。ラインはコミュニケーションツールであって管理ツールではないからです。
ラインで予約を受け付けた後、ほかの予約管理ツールに情報を入力する必要があります。スタッフの手間を減らすことを考えると、予約管理ツールは、LINEへの外部連携が可能なものを選ぶと楽になります。
プロフィールを充実させる
ライン公式アカウントにはプロフィール欄に多くの情報が掲載できます。
- プロフィール写真
- 背景写真
- 基本情報
- メニュー
そのほかにも、クーポンやLINEVOOMの投稿などもプロフィールに反映されます。このプロフィール欄は、アカウントの顔となる部分です。写真にはロゴや店舗の外観などを設定し、埋もれてしまわないようにしましょう。
基本情報には、ほかのSNSやホームページ、マップの掲載も可能です。お客様の予約から来店までの導線をイメージしてプロフィールの設定をしてください。
パーソナライズされたメッセージ配信
お客様の属性や購買履歴に基づいてパーソナライズされたメッセージを配信することで、より効果的なお客様との積極が可能となります。例えば、過去の購入履歴や予約履歴に基づいて、関連性の高い商品や施術の提案することで、購入単価や購入品数を増やすことができるかもしれません。
受け取る側としても、お店側の顧客に寄り添う姿勢が受け取れるため、店舗への愛着を感じるきっかけにもなるでしょう。
サロンの集客にライン公式アカウントを導入しよう
いまやライン公式アカウントは、集客として欠かせないツールです。
様々な分析機能も携えているため、マーケティングツールとしても非常に優秀です。無料でアカウントの開設ができるので気軽に始めやすく、ほかのSNSアカウントやWebサイトと合わせて運用することで相乗効果が期待できます。
ぜひ、自店の販促のひとつとしてライン公式アカウントを取り入れてみてはいかがでしょうかパーソナライズされたメッセージ配信