エステとリラクゼーションの違いをご存知ですか。
近年、エステサロンのメニューが増えてきており、エステメニューとリラクゼーションメニューが混在している店舗が散見されます。
エステとリラクゼーションの違いを知っておかないと、ターゲットとは違う層の顧客を集客してしまったり、顧客の目的を施術で果たせなかったりと、様々なリスクが考えられます。
両者の違いを把握したうえでメニューを考案し、お客様の悩みに合わせて施術を提案できるようにしておきましょう。
エステとリラクゼーションは何が違うの?
一見、違いが無いように見えるエステとリラクゼーションですが、様々な点で異なります。代表的な違いは以下の2つです。
- 目的
- メニュー
目的
まずは施術を行う目的についてです。
エステはお客様の「美しくいたい」という気持ちに寄り添うために、美容目的で行われる肌や体への施術を指します。お客様それぞれの美容ニーズに合わせた施術により、お客様に幸福感と自信の提供を目指します。
一方で、リラクゼーションは体と心のリフレッシュとリラックスを促進し、ストレスや緊張の軽減を図ることを目的としています。睡眠の質の改善、免疫機能のサポートなど、健康にも良い影響を与えるのが特徴です。
両者の施術目的を正しく把握しておかないと、お客様のご要望を叶える施術とは違う施術を施してしまう可能性があり、顧客満足度を低下させてしまうかもしれません。
メニュー
エステとリラクゼーションで目的が異なれば、施術メニューも変わってきます。
お客様に美容効果を提供したいのであればエステメニューを、ストレス軽減やリラックス効果を提供したいのであればリラクゼーションメニューを多めに取り入れましょう。
エステはメニューによって用意すべきマシンや費用が変わってくるため、マシンを購入してから後悔しないように、慎重にメニューの選定と機器の購入を行いましょう。
リラクゼーションの施術は手技が中心となってくるため、メニューごとに施術スキルを習得する必要があります。
エステもリラクゼーションも、メニューによって準備すべき費用や身につけるべきスキルが異なります。どのような価値を提供したいのかを明確にしてからメニューの選定を行いましょう。
エステの代表的なメニュー
エステは施術の種類が幅広いです。基本的なメニューとそれぞれの特徴を押さえておくことで、お客様に最適なメニューを提案できるようにしておきましょう。
- フェイシャルエステ
- 痩身エステ
- 脱毛エステ
- バストアップエステ
フェイシャルエステ
フェイシャルエステはその名の通り、顔やフェイスライン、首の部分を集中的にケアするエステメニューです。
シワやたるみ、フェイスラインの改善、小顔効果など、明確に顔周りに悩みを持っているお客様にはフェイシャルエステを提案しましょう。
フェイシャルエステは施術前後の行為によって肌の赤みやかゆみなどの炎症を引き起こす可能性があります。お客様に施術直前の顔剃りや施術後1〜2週間の脱毛・コラーゲン注射といった行為は控えてもらうようにしましょう。
痩身エステ
エステメニューで人気なのが、ダイエット効果を狙った痩身エステになります。
痩身エステは部分痩せを狙えるところが魅力的です。「体重が落ちても、落としたい部分が痩せない」という悩みを抱えるお客様におすすめのメニューといえるでしょう。
痩身エステの効果は比較的目に見えやすいので、少ない回数の施術で痩せたと感じやすいですが、一時的なものです。継続的に通わないと効果が発揮されないことをお客様にお伝えすることでリピート率を上げましょう。
脱毛エステ
近年、脱毛エステは需要が高まっています。女性だけでなく、メンズ脱毛、キッズ脱毛、介護脱毛と、老若男女問わず脱毛が受けられる時代になりました。
業務用脱毛機の本体価格の相場は100万円〜500万円であり、加えてランニングコストを支払わなければいけません。そこまでの資金を用意できないという方は機器のレンタルを検討しましょう。
最近では刺激の少ないマシンも増えてきており、お客様の脱毛へのハードルが下がってきています。エステサロンを開業する際はぜひ導入したいメニューの1つといえるでしょう。
「業務用脱毛機は種類が多すぎてどれを選べば良いか分からない」という方は、こちらのコラムを参考にしてみてください。
エステサロンでの脱毛機の選び方|ポイントや注意点など解説
バストアップエステ
バストアップエステは、「年齢とともにバストが垂れてきた」「タイトな服を着たときにバスト周りが気になる」といった方にバストアップ効果をもたらす施術です。
バストアップエステの競合は豊胸手術です。お客様には、
- 整形をすることなく豊かなバストを手に入れられる
- 体への負担が少ない
- 無理なく続けやすい
というバストアップエステならではのメリットをアピールするようにしましょう。
バストアップエステは1〜2週間ほどで効果が薄れてきてしまうので、継続することの重要性をお客様に伝えることが大切です。
リラクゼーションの代表的なメニュー
リラクゼーションもメニューは豊富です。1つずつ解説していきます。
- アロママッサージ
- リンパマッサージ
- タイ古式マッサージ
- フットケア
- カイロプラクティック
アロママッサージ
アロマオイルを使って筋肉やリンパにアプローチするアロママッサージは、女性に人気なメニューとなっています。
多忙で気持ちが焦っているときや全身に疲れを感じているときに、アロママッサージによるリラックス効果が効いてくるでしょう。
アロママッサージにはアロマオイルを用いますが、使うオイルの分類によってもたらす効果が変わってきます。以下に分類と効果をまとめましたので、アロマオイルを購入の際は参考までにご覧ください。
分類 | 精油 | 特徴・効果 |
フローラル系 | カモミール、ジャスミン、ローズ | 花のような香り。 心身のリラックスだけでなく、気持ちを高揚させる効果もある。 |
シトラス系 | オレンジ、グレープフルーツ、 ベルガモット |
柑橘系のフレッシュな香り。 皮膚の引き締めや体を温める効果をもたらす。 |
樹木系 | ユーカリ、ヒノキ、ローズウッド | 森林を思わせる香り。 心の安らぎだけでなく、リフレッシュ効果もある。 |
ハーブ系 | ペパーミント、ローズマリー、 バジル |
草木のシャープな香り。清涼感とリラックス効果をもたらす。 |
スパイス系 | コリアンダー、シナモン、 ジンジャー |
スパイシーな香り。心身を温め、食欲を向上させる。 |
オリエンタル系 | イランイラン、ロータス、 サンダルウッド |
妖艶さのあるエキゾチックな香り。過度な緊張や不安・怒りを鎮める効果を持つ。 |
リンパマッサージ
リンパマッサージとは、リンパ液の流れを良くするために行うマッサージです。
リンパ液は細胞から出た老廃物を運ぶ役割を果たすため、リンパマッサージを行うことで、むくみの改善や冷え性の緩和、肩こり解消、基礎代謝向上といった多くの効果が期待できます。
体調が悪いけれど原因がわからないというお客様には、一度リンパマッサージをおすすめしてみると良いでしょう。
ただし、使用するクリームやマッサージオイルに含まれる成分によってアレルギー反応が起こる可能性があるため、施術前にお客様に確認をとるようにしてください。
タイ古式マッサージ
「2人で行うヨガ」「世界一気持ち良いマッサージ」とも呼ばれるのがタイ古式マッサージです。
ストレッチを交えながらマッサージを行うのが特徴で、リラクゼーションセラピストの動きに合わせて体勢を変えながら、全身のマッサージを行います。
女性のセラピストでも簡単に施術を行えるのもタイ古式マッサージのポイントの1つといえるでしょう。
一般的に施術には60分〜120分程度かかります。時間が比較的かかる分、サロンの回転率が下がるため、適切な価格設定を行う必要があります。
また、施術のための広さを確保しなければならない点も開業時に頭に入れておきましょう。
フットケア
フットケアは、足指・爪・かかとに施すケアの総称です。乾燥によるかかとのざらつきや足裏のたこや魚の目、むくみなど、足に関する悩みにアプローチします。
フットケアにはフットバス、カットクリーム、スクラブ剤など、必要な備品がたくさんあります。タオルなどの消耗品も必要なので、施術時に在庫がないという状況を作らないためにも、こまめに在庫管理をしておきましょう。
カイロプラクティック
カイロプラクティックとは、体の神経機能に影響を及ぼす骨や関節の歪みを整える施術です。世界各国で導入されており、高い効果が認められています。
日本には公的な資格がないため、誰でもカイロプラクティックの施術を行うことが可能です。しかし、多くの施術者が専門学校などでスキルをつけてから職に就いています。
WHOのガイドラインに準拠したプログラムを習得して試験に合格すると、「カイロプラクター」の肩書きを獲得できます。箔とスキルをつけることで集客を図り、お客様に安心して施術を受けてもらいましょう。
サロンで最近注目されているメニュー
エステやリラクゼーションを行うサロンを開業しようとなると、ぶつかるであろう難題がメニューの選定です。基本的なメニューを導入しているだけでは、競合にお客様を取られてしまいます。
そこで、近年注目されているメニューを導入することで差別化を図ってみましょう。
- アーユルヴェーダ
- クリームバス
- CBDエステ
- リフレクソロジー
- ホットストーン
- タラソテラピー
アーユルヴェーダ
アーユルヴェーダはインド・スリランカに端を発する医学療法で、長寿や若さを保つことを目的とした予防医学です。予防医学といってもけがや病気の治療ではなく、マッサージやヨガ、占星術、食べ物の使用により人体にアプローチします。
アーユルヴェーダには健康への効果だけでなく、美肌、育毛、アイケア、体型維持など、多くの美容効果が期待できます。
ハーブやオイルを使ったマッサージによって体や心にリラックス効果をもたらし、ストレスの解消を図ります。
クリームバス
クリームバスは、インドネシアから伝わる、ヘッドマッサージとトリートメントを融合したヘッドマッサージ施術です。
ハーブや果実、植物で作られたクリームを使い、頭皮や髪の毛を始め、デコルテ、肩、腕までトリートメントを行います。
ハンドトリートメントで血液やリンパの流れを正常化するだけでなく、ほのかなアロマの香りによってリラックス効果を得ることができます。
毎日の仕事や家事によるストレスによって悪影響を受けた頭皮を健康に導き、普段のシャンプーでは取り除くことが難しい余分な皮脂を取り除く効果を期待できるでしょう。
CBDエステ
CBDは「カンナビジオール(Cannabidiol)」の略称で、大麻草に含まれる成分の1つです。大麻草からCBDだけを抽出し、ココナッツやオリーブなどのオイルを配合したものをCBDオイルと呼び、CBDエステではCBDオイルを使ってマッサージを行います。
CBDエステに期待できるのはニキビやシワなどに代表される肌トラブルの改善です。CBDの抗炎症作用・抗酸化作用により肌トラブルを防ぎ、アンチエイジング効果をもたらします。
加えて、CBDはストレス緩和や高血圧の改善など、精神面・健康面への効果も期待できます。
リフレクソロジー
リフレクソロジーは足の裏にある反射区を刺激することで、内臓の疲労回復を図る施術です。
- 血行促進による体温上昇
- 新陳代謝の改善による太りにくい体づくり
- リンパの流れを促進することによるむくみ改善
など、リフレクソロジーは全身に効果をもたらします。
足つぼマッサージよりも刺激を伴わず、体の不調をケアしたり、リラックス効果を得たりすることができます。
日本では、英国式リフレクソロジーと台湾式リフレクソロジーが主流です。
ホットストーン
50℃〜60℃に温めた石を使用したオイルトリートメントをホットストーンと呼びます。
石は玄武岩(マグマが冷えて固まってできた石)を、背中・腹・顔・手のひらなどに直接配置したり、体にオイルを塗った後に玄武岩を使ってマッサージをしたりします。
ホットストーンによる遠赤外線効果により、首や肩凝りの改善、冷え・むくみ・便秘の解消だけでなく、美肌効果や不眠症の改善にも役立つでしょう。
タラソテラピー
タラソテラピーはフランス人医師が確立した自然療法で、海水や海藻、海泥を用いた施術です。
自律神経を整えてくれるだけでなく、冷え性の改善、美肌効果、新陳代謝の促進など、効果は多岐にわたります。
日本では導入しているサロンは少なく、差別化の要素となりますが、高価格での提供になる点と短時間での施術では効果が発揮されない点が導入のハードルを上げています。
違いを理解して適切にサービスを提供しよう
エステとリラクゼーションの違いについて解説いたしました。
目的やメニューの内容など、両者は一見似ているようで異なる点がたくさんあります。
エステサロンには様々な目的や悩みを抱えたお客様が来店します。エステとリラクゼーションの違いを知っておくことで、お客様の希望を把握したうえで適切な提案ができるようにしましょう。