エステサロンをスムーズに運営していく上で重要な業務の1つとして、お客様の情報をカルテで丁寧に管理することが挙げられます。大切なお客様の情報を安全に管理し、施術や接客に活かすためには、記載する内容や管理方法の工夫が必要です。

今回のコラムでは、エステサロンのカルテに記載すべき内容について詳しく解説するとともに、紙カルテと電子カルテという2つの管理方法の特徴をご紹介します。近年主流になりつつある電子カルテの選び方もお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてください。

エステサロンでカルテが持つ役割

エステサロンにおいて、カルテは以下のような役割を担います。

• お客様の情報を管理しやすくする
• コミュニケーションのきっかけを作る
• アフターケア・物販を提案するヒントになる

お客様の情報を管理しやすくする

エステサロンのカルテの最も重要な役割として、お客様の情報を正しく管理してすぐに見返せる状態にしておくことが挙げられます。

大手のエステサロンでは特に、1人のエステティシャンが多数のお客様を担当したり、1人のお客様を複数のエステティシャンで担当することも珍しくありません。

• 来店歴・頻度
• 利用している施術メニュー
• アレルギーの有無
• 解決したいと考えている悩み

お客様の施術を担当する際に必要となる上記のような情報をカルテにまとめておけば、スタッフ全員がいつでも見返すことが可能です。お客様に同じ質問を繰り返してしまったり、担当を引き継いだスタッフが戸惑ったりする事態を防げるでしょう。

コミュニケーションのきっかけを作る

エステサロンにおいて顧客満足度をアップさせるためには、エステティシャンとお客様の間で強固な信頼関係を築くことが大切です。

エステサロンを訪れるお客様のほとんどは、肌や身体に関して何かしらの悩みや願望を持っていると考えられます。お客様の希望を実現させるためには、エステティシャンとお客様が綿密なコミュニケーションを取って今後の方針を一緒に検討することが大切です。

• お客様が日頃抱えている美容に関する悩み
• 施術の途中経過
• お客様の生活習慣
• 前回の来店時に会話した内容

カルテにこのような情報を記載しておけば、次回の施術時にお客様との会話のきっかけとして活用することが可能です。過去に話した内容を覚えてくれているスタッフは、お客様にとって自分のことを気にかけてくれる存在として信頼しやすいと言えます。

信じられるスタッフに担当してもらえればエステサロンが居心地の良い場所となり、長期的に通い続けてくれる可能性が高まるでしょう。

アフターケア・物販を提案するヒントになる

継続して来店してくれるお客様に対して、美容に関する悩みを定期的に聞き出して記入しておくのも有効な活用方法の1つです。

• 冬になると肌が乾燥する
• 肌荒れを改善する施術を受けていたが顔のむくみが気になるようになった

長く通っているお客様が抱える上記のような悩みを聞き出してカルテに記録しておけば、個人に合わせてアフターケアや物販の商品を提案するヒントになってくれます。

個人に合わせたアフターケアを提案できればお客様の満足度がアップするだけでなく、美容のプロとしてより強い信頼を得られるでしょう。

肌質や体質、悩みに応じて最適な物販の商品を提案すれば、闇雲に商品を勧めるより購入に繋がりやすくなり、客単価のアップを狙えます。

エステサロンにおけるカルテ管理の方法

エステサロンにおけるカルテ管理の方法は、大きく紙と電子端末の2種類に分けることができます。それぞれのメリットやデメリットについてご紹介します。

紙

お客様の情報を紙に直接記入した紙カルテをファイリングして管理します

• 導入コストを抑えられる
• ネットの通信環境に依存せず使える
• 誰でも簡単に利用できる

紙カルテの大きなメリットとして、上記の3点が挙げられます。紙と印刷設備さえあればすぐにでも使うことができ、導入するハードルは比較的低いです。

一方、以下のようなデメリットも存在します。

• 管理スペースを確保しなければならない
• 特定の顧客の情報を見つけるのに時間がかかる

客数が増えてくると、ファイルの数が増えて保管するスペースが足りなくなり、店舗を圧迫してしまう可能性があります。ファイルの数が膨大になると、特定のお客様の情報を見つけるのに時間がかかってしまうことも難点です。

電子端末

電子カルテは1999年に誕生して以来少しずつ普及し、近年では美容業界でも主流となりつつあります。電子カルテの主なメリットは以下の3点です。

• 特定のお客様の情報をすぐに見つけられる
• 管理スペースを必要としない
• どこからでも情報を確認できる

情報の見つけやすさは、電子カルテならではの強みだと言えます。

簡単に持ち運べる端末で情報を閲覧できるため、どこにいてもすぐにお客様の情報を確認できます。中には確認したい顧客の情報を検索できる機能がついているタイプもあるため、客数が増えても必要なデータを探すのに手間取ることもありません。

利便性が高い反面、コストがかさむことやネット環境への依存度が高いことはデメリットだと言えます。

エステサロンに電子カルテを導入しようと思うと有料のアプリをダウンロードしなければならないケースがほとんどであり、店舗によってはネット環境の整備が必要になることも。

また、電子カルテはインターネット回線下でないと閲覧することができません。店舗のネット環境に不具合が生じると情報を確認できなくなってしまい、サロン運営に支障が発生する可能性も考えられます。

エステサロンにおける電子カルテの選び方

現在紙カルテを取り入れているサロンオーナーの中には、近年広まっている電子カルテへの乗り換えを検討している方も多いのではないでしょうか。ここからは、エステサロンで導入する電子カルテを選ぶ際にチェックすべきポイントをお伝えします。

• 売上管理・予約管理機能が付随しているか
• 外部ツールと連携しているか
• 操作しやすいか
• サポート体制が整っているか

売上管理・予約管理機能が付随しているか

エステサロンには、売上やお客様の予約状況など、電子端末を使って管理する方が効率良く業務を進められる情報が数多く存在します。そういった情報を現在手書きで管理している方は、必要な管理機能がまとめて付随された電子カルテを導入すると良いでしょう。

情報の管理を1つのツールに集約してしまえば、別々の手段で管理するよりも業務の効率化をよりスムーズに進められます。

外部ツールと連携しているか

新たに電子カルテの導入を検討しているエステサロンの中には、既に別のツールで予約や売上を管理しているところも多いのではないでしょうか。そういった場合は、既存の外部ツールと連携できる電子カルテを選ぶことをおすすめします。

外部ツールと連携できない電子カルテを導入してしまうと、複数のツールを使ってお客様の情報を別々に管理しなければなりません。一方のツールに入力した情報をもう一方に再度入力しなければならないといった余計な手間が発生します。

業務の効率化を目的として電子カルテを導入するはずが、かえって工数がかさんでしまうことも考えられます。

操作しやすいか

エステサロンを長年経営している場合は特に、紙カルテから電子カルテへの大きな変更にすぐに慣れることが難しいスタッフがいるかもしれません。操作が複雑だと導入研修に時間がかかったり、業務中にうまく操作できず手間取ったりしてしまう可能性があります。

従って、画面が見やすいかどうか、簡単に操作できるかなども、電子カルテを選ぶうえで注目すべき点の1つだと言えます。不慣れなスタッフでもすぐに操作方法を習得できる、シンプルなタイプを導入できると良いでしょう。

サポート体制が整っているか

電子カルテを販売する企業の中には、導入してくれたサロンに以下のような充実した保証やサポートを提供しているところも多いです。

• 定期的なメンテナンス
• 相談窓口
• スタッフへの導入研修
• トラブルへの迅速な対応

電子カルテへの移行やシステムトラブルなど、店舗スタッフだけではスムーズな対応が難しい場面でプロの支援を受けられるのは嬉しいポイントだと言えます。複数のメーカーの支援体制を比較して、安心して利用できそうな電子カルテを選ぶのも1つの手です。

電子カルテでお客様の情報を守り活用しよう

カルテは大切なお客様の情報を管理するツールであると同時に、お客様の満足度を上げるヒントとしても活躍してくれます。今回ご紹介した内容を記録しておき、綿密なコミュニケーションや最適な販促に活用してみてください。

また、電子カルテへの移行を検討している場合は、スムーズに業務を進められるかどうか、お客様の情報を守れるかどうかという2つを意識して選ぶことをおすすめします。

エステサロンの規模が変化しても大切な顧客情報を安全に管理できるよう、電子カルテの導入を選択肢の1つとして検討するのも良いかもしれません。