一般的にマッサージはストレス解消になると考えられており、ストレスが原因で発症する自律神経失調症を改善するために施術を受けている方もいるでしょう。しかし、逆にマッサージによって自律神経失調症が悪化する可能性があることをご存じですか。

「もしかしてマッサージを受けるべきではない？」と思うかもしれませんが、実際は違います。どういったマッサージだと自律神経失調症が悪化するのか知っておくのが大切です。

本記事ではマッサージと自律神経失調症悪化の関係について解説します。

マッサージで自律神経失調症が悪化する？

マッサージで自律神経失調症が悪化する場合はありますが、基本的には改善すると考えて問題ありません。特殊なケースでのみ自律神経失調症が悪化してしまいます。

自律神経失調症は交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで起こります。一般的にはストレスや不安を感じて、交感神経が優位になっている状態を自律神経失調症と診断されるケースが多いです。

マッサージは筋肉の緊張をほぐし、副交感神経の働きを優位にしてくれます。副交感神経が活発になると交感神経の働きが落ち着きます。ストレスや不安感が少なくなり自律神経失調症は改善するといえるでしょう。

一方で、首のような交感神経と副交感神経の両方が通っている場所をマッサージすると、両方の神経を刺激してしまいます。つまり、副交感神経だけではなく、交感神経も過度に活発になってしまい、自律神経失調症が悪化してしまいます。

しかし、首以外をマッサージする場合に関しては、自律神経失調症が悪化することはほぼないといわれています。そのため、マッサージが自律神経失調症を引き起こすのは非常に稀なケースであり、基本的には改善できる可能性が高いといえるでしょう。

自律神経失調症を放置すると？

自律神経失調症は以下のような症状を引き起こします。

• めまい
• 吐き気
• 動悸
• 息切れ
• 下痢

など
自律神経失調症を放置すると、症状がさらに悪化し、耳鳴りや難聴などが起こる「メニエール病」に発展する可能性もあります。

マッサージを行えば自律神経失調症の症状を緩和することは可能です。しかし、マッサージだけで自律神経失調症を治療することはできません。そのため、自律神経失調症は放置せずに、ストレスや不安の原因を特定して改善することが必要です。

自律神経失調症の原因

自律神経失調症の原因としては、以下が考えられます。

• 仕事による社会的なストレス
• 人間関係や環境の変化に伴う精神的なストレス
• 不規則な生活習慣
• 生まれつき自律神経が過敏
• 女性ホルモンの乱れ

など

自律神経失調症の原因は様々です。しかし、環境を変えるのは簡単なことではありません。仕事や人間関係など、変えたくても変えられないものもあります。そのため、原因を取り除く以外のアプローチで自律神経を整えていく必要があります。

日常生活の中で自立神経を整えるには？

日常生活の中で自立神経を整える方法は以下の通りです。

• 規則正しい食生活を心がける
• 適度な運動を心がける
• 楽な服装をする
• 起きたら朝日を浴びる
• ぬるめのお風呂に浸かる
• 寝る前にスマホを見ない

自律神経が整う理由について解説いたします。

規則正しい食生活を心がける

食事のリズムは生活習慣に大きく影響するため、なるべく1日3回の食事を決まった時間に摂取するようにしましょう。食事のメニューについても栄養バランスを意識する必要があります。

栄養バランスが乱れると体にとって必要な栄養が不足し、疲れやすくなったり、風邪を引きやすくなったりします。ストレスの要因となってしまうため、幅広い食品から多くの栄養を取るようにしましょう。

適度な運動を心がける

自律神経を整えるために適度な運動は欠かせません。運動している瞬間は交感神経が働いてしまいますが、副交感神経の働きも向上します。運動後は筋肉がほぐれているため、副交感神経の働きが優位になり、リラックスできるでしょう。

勝ち負けのあるスポーツだと、競っていること自体がストレスになってしまう恐れもあります。ウォーキングやサイクリング、水泳などの競う必要のない運動が望ましいでしょう。

楽な服装をする

窮屈な服装はストレスの要因になります。身体が締め付けられ、筋肉が緊張してしまうと交感神経が優位になり、自律神経失調症が悪化します。

そのため、なるべくゆったりとした楽な服装を着用するようにしましょう。些細なことですが、これだけでも自律神経失調症の防止に効果的です。

起きたら朝日を浴びる

自律神経を整えるためには正しいリズムで睡眠を取ることが欠かせません。そのためには、朝起きたら朝日を浴びることが大切です。仕事が休みの日は一日中家にいて、朝日を浴びないという方もいるでしょう。

しかし、外出の予定がなくても朝日を浴びるようにすると、睡眠の質は向上します。休日だからこそ、いつもと同じように行動して生活リズムを狂わせないことが大切です。

ぬるめのお風呂に浸かる

湯船に浸かると副交感神経が優位になります。リラックス効果のあるアロマやハーブを使うとさらに効果は高まります。

しかし、温度が高すぎると交感神経が優位になってしまうので注意しましょう。ぬるめのお湯にゆっくりと浸かるのがポイントです。

寝る前にスマホを見ない

スマホやパソコンの画面から出るブルーライトは、体内時計を遅らせる効果があるといわれています。そのため、寝る前にスマホを見ていると、睡眠を妨げてしまうかもしれません。

スマホから得る多くの情報や着信音、振動なども睡眠の妨げになります。寝る前にはスマホを見ないようにして、良質な睡眠を心がけておきましょう。

自律神経失調症が悪化する生活習慣とは？

日常生活の中で何気なく行っている生活習慣で自律神経失調症が悪化する可能性があります。

• トランス脂肪酸を大量に含む食事
• 喫煙・飲酒習慣

自律神経失調症が悪化する具体的な理由について解説いたします。

トランス脂肪酸・糖分を大量に含む食事

トランス脂肪酸はマーガリンなどに多く含まれています。トランス脂肪酸は脳にとっては欠かせないオメガ3脂肪酸が不足した際に、代わりに使われるという特徴があります。

しかし、トランス脂肪酸はオメガ3脂肪酸よりに比べて、脳の細胞膜を柔らかくする効果が高くありません。そのため、トランス脂肪酸を過剰に摂取すると、脳の伝達速度が大幅に下がります。

結果として情緒不安定になりやすくなり、自律神経も乱れてしまうため注意が必要です。マーガリンなどを原料としているドーナツやケーキなどは食べる頻度を減らしましょう。

喫煙・飲酒習慣

喫煙や飲酒はストレス解消につながるように思えますが、これらは脳へ流れる血液量を減らしてしまいます。脳の血液が不足すると、働きが悪くなってしまい、情緒不安定になり自立神経の乱れを引き起こすため注意しましょう。

他にも健康に様々な悪影響を及ぼしてしまうため、できれば喫煙や飲酒はやめるのがベストです。

自律神経を整えるためのマッサージ店もある

マッサージ店の中には自律神経を整えることをメインとしているお店もあります。そういったサービスを継続的に利用するのはおすすめです。

継続的に利用すれば、徐々に自律神経失調症は改善していくでしょう。一方で、マッサージだけでは完治は難しいため、先ほど紹介した日常生活の中で自律神経を整える方法で並行して行うようにしましょう。

自律神経失調症が悪化したら医師に相談

自律神経失調症は気づかぬうちに悪化している可能性があります。そのため、診断を受けたら自分だけの問題と考えずに、こまめに医師に相談するのが大切です。

ストレスが大きいと病院に行くのすら億劫になってしまう方もいます。しかし、自力では改善が困難なケースも多いため、必ず医師に相談しながら二人三脚で治療を勧めていきましょう。

マッサージには自律神経を整える効果がある

マッサージは自律神経失調症を悪化させる場合もありますが、基本的にはプラスに働くことが多いです。そのため、自律神経失調症で悩んでいる方は、マッサージを受けてみても良いかもしれません。

しかし、マッサージによる効果は一時的です。自律神経失調症を完治させるためには、医師と協力しながら生活習慣そのものの見直しも行いましょう。