人々の美容意識が高まる中で、競争が激しくなってきた美容クリニック業界。リーズナブルな価格設定や高性能なマシンだけでは差別化が難しくなってきています。
そこで今回ご紹介するのが「接客」について。スタッフの接客次第でお客様のクリニックに対する印象は大きく変わります。
美容クリニックにおける接客のポイントを押さえ、「また通いたい」と思ってもらえるクリニックづくりに役立てましょう。
接客と接遇の違い
接客について説明していく前に知っておくべきなのが「接客」と「接遇」の違いです。
接客はお客様が不快に感じないよう、最低限のマナーをもってサービスを提供することです。その一方、接遇は接客にプラスアルファのおもてなし精神を加え、お客様一人ひとりに合わせたサービスを提供することを指します。
クリニックは一般病院と違って自由診療を提供しており、提供するサービス内容やその価格を独自で設定します。ただし、現代ではクリニックの数も増えてきて、内容や価格での差別化が難しくなってきています。
そのため、接客はもちろん、接遇にまで力を入れることで、お客様に「ここがいい」と思ってもらうことが集客や差別化に繋がる可能性が高まります。
では接遇はクリニックの経営にどのような影響をもたらすのでしょうか。
美容クリニックにおいて接遇が重要な理由
美容クリニックにおいて接遇が大切な理由はたくさんあります。それぞれ解説いたします。
- 顧客に質の高いサービスを提供できる
- 美容クリニックのブランド力やイメージの向上に繋がる
- 社内の円滑なコミュニケーションに繋がる
顧客に質の高いサービスを提供できる
接遇の大きなメリットとして、お客様に質の高いサービスを提供できることが挙げられます。
施術前にお客様の不安に寄り添う、お客様がお帰りの際にドアを開けるなどの行為はお客様に安心感を提供し、信頼を得ることにも繋がるでしょう。
また、スタッフ自身が質の高いサービスを提供できていると自認できると、仕事に対するモチベーションも上がります。
クリニック内外にプラスの影響をもたらす接遇は、リピーターだけでなく、新規顧客の獲得に繋がり、売上にも貢献する要素となり得ます。
美容クリニックのブランド力やイメージの向上に繋がる
スタッフが接遇を身につけることは、クリニックのイメージやブランド力向上に繋がります。
美容クリニックでは必ずスタッフとお客様の対話があるため、スタッフの対応はクリニックのイメージやブランドに直結します。
スタッフの対応が良ければクリニックに好印象をもってもらうことができ、お客様にポジティブな内容の口コミを書いてもらえるようになります。今の時代、SNSやネット上の情報の影響力が大きいので、ある程度良い口コミが集まれば、従来以上に新規顧客に良いイメージを持ってもらいやすい状況にあります。
例えば、Googleマップやホットペッパービューティーなどの口コミを見ると、意外に多くの方が接客について言及しており、それだけ重要であることがわかります。
接遇がクリニックのブランド力やイメージを向上させ、集客や売上に繋がるというわけです。
社内の円滑なコミュニケーションに繋がる
接遇を身につけると他人に対する思いやりが持てるようになります。先輩・後輩関係なく、スタッフ同士のコミュニケーションがうまくいくようになり、人間関係の円滑化を図ることができます。
店舗内のコミュニケーションが円滑化すれば、業務効率化やスタッフの働きやすさを向上させることがに繋がります。
美容クリニックの離職率が高い理由として、人間関係の問題がよくあがってきます。接客が改善されればお客様だけでなく、クリニック内の組織構築にも役立ちます。
美容クリニックの接客で気を付けるべきポイント5選
「接客や接遇の重要性はわかったけれども、具体的に何に気を付ければ良いかわからない」という方もいらっしゃるでしょう。本章で接客・接遇を身につける際のポイントをご紹介します。
- 身だしなみ
- あいさつ
- 表情
- 言葉遣い
- 立ち居振る舞い
身だしなみ
美容クリニックなので、やはり「清潔感」の演出が大切です。美容クリニックに来院される方は美容意識が高く、相手の美意識や見た目にも敏感な傾向があります。
どれだけ接客が丁寧でも見た目が整っていないとお客様にマイナスの印象を与えてしまいます。常に身だしなみを整えておく意識を持っておきましょう。
以下に身だしなみに関するチェックリストを載せておきます。参考までに確認してみましょう。
- 髪色は自然で、顔にかかっていないか
- 手や爪が汚れていないか
- 華美なアクセサリーを身に着けていないか
- 制服は清潔で、しわがないか
- 香水の香りはきつくないか
- 靴は汚れていないか
- 化粧は派手過ぎないか
- 髭の剃り残しはないか(男性)
あいさつ
あいさつは接客の基本中の基本。お客様の来院時には必ずあいさつをしましょう。あいさつの声も聴覚的に得られる情報ですので、印象に大きく関わります。
声のトーンや声量に気を配り、お客様に心地よく感じてもらいましょう。
あいさつを皮切りにお客様とコミュニケーションが始まることも多いです。円滑にコミュニケーションを行えるかどうかの分かれ道になり得ます。
相手の目を見る、目線を合わせることはもちろん、困ったときはいつでもお声がけしてもらえるように心を開いた態度をとることも意識するようにしましょう。
表情
表情もそのスタッフに対する印象だけでなくクリニックの印象にまで影響を与えます。口角を上げてにこやかな表情でお客様に接することが大切です。
常に笑顔でいることは簡単ではありません。日頃から鏡を見て口角を上げる練習をしましょう。
言葉遣い
言葉遣いによってお客様の信用を損ねてしまう可能性があります。正しく適切な言葉遣いはお客様に「丁寧な接客」の印象を与えます。また利用したいと思ってもらえるように適切な言葉遣いをできるようにしておきましょう。
間違った言葉遣いはお客様を不快にさせ、場合によってはクレームに繋がります。以下のポイントを意識して対策しましょう。
- クッション言葉(恐れ入りますが、よろしければなど)を使う
- 敬語・敬称を正しく使い分ける
- ボキャブラリーを増やす
- ら抜き言葉(見れる、来れるなど)を使わないようにする
立ち居振る舞い
お客様が安心して過ごせる空間を作るために、お客様との程よい距離感を保ったり、相手のタイミングに合わせて有益な情報を提供したりなど、振る舞いに工夫をしましょう。
また、美しい立ち居振る舞いは上品な印象を与えます。普段から気を抜かず、良い姿勢を保ちましょう。横から見て耳、方、腰、膝、かかとが一直線になっていると良い姿勢を保つことができます。
美容クリニックの接客をスタッフが身につける方法は?
接客・接遇のポイントを説明しましたが、具体的にどう身につけたら良いのか、スタッフにどう教育したら良いのかわからないという経営者の方もいらっしゃるかもしれません。本章では具体的な方法を3つご紹介します。ぜひ取り入れてみてください。
- クリニック内で研修を行う
- 先輩の接客を観察させる
- 他のクリニックを参考にする
クリニック内で研修を行う
美容クリニックによっては接客の研修を取り入れているところもあります。定期的に研修を行い、日頃適切な接客・接遇ができているのかをチェックすることが大切です。
主に上で紹介した5つの要素(身だしなみ・あいさつ・表情・言葉遣い・立ち居振る舞い)に関してチェック項目をいくつか用意しておきましょう。それを基に毎月スタッフの接客・接遇を評価して、できていない部分は翌月以降で修正していきましょう。
外部からプロの講師を招いてスタッフに接客の研修を受けさせるのもおすすめ。スタッフと一緒に経営者も接客・接遇のスキルを身につけていきましょう。
先輩の接客を観察させる
スタッフに教育をさせたい場合、先輩の接客の様子を観察させて学んでもらうのも一つの手です。
特に、お客様から評判の良い先輩を観察させてみましょう。施術スキルだけでなく、話していて心地が良い、安心できるといった理由で評判を得ている可能性があります。
自分との違いに自身で気付いてもらうことで、スタッフの成長を図ることができるでしょう。
他のクリニックを参考にする
同じクリニック内の誰かを参考にしようと思っても、クリニックによっては個室での対応が多く、働きながらの観察が難しい可能性があります。
その場合は、客として他のクリニックに行ってみることをおすすめします。お客様の立場でどんな対応をされると嬉しいのか、どんな言葉遣いが気になったのかなどを感じると、自身の接客・接遇の改善点が見えてくるかもしれません。
他にも自身が普段受ける接客の中で素敵な接客だなと感じたものは日頃から取り入れる意識で生活しましょう。
美容クリニックの接客を徹底してリピーターを増やそう
美容クリニックのイメージを大きく左右する接客・接遇。価格や機器はなかなか変えられませんが、接客はスタッフや経営者の努力で比較的変更できる要素です。
「あのスタッフがいるから」「あのクリニックは接客が素敵だから」と、自身のクリニックだからこそ通ってもらえる店舗づくりをしていきましょう。
弊社NBSではクリニックやサロンの開業支援を行っており、人材教育のサポートも支援させていただいております。スタッフの接客・接遇の教育に困っている経営者の方はぜひ一度ご連絡ください。
魅力的な店舗運営を全力でサポートさせていただきます。