医療技術の進歩により美容医療が身近な存在となりつつある今、美容クリニックで勤務する美容看護師のニーズも高まってきています。
美容看護師の仕事内容は、一般病棟や医療施設で勤務している看護師とは大きく異なります。病棟看護師の中には、美容看護師はなじみの薄い職種だと感じている方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回のコラムでは美容看護師の仕事内容について、病棟看護師と比較しながら詳しく解説していきます。
美容看護師の仕事内容とは
美容看護師の主な仕事内容として、以下の4つが挙げられます。
- 医師の施術や診療の補助
- カウンセリング・クロージング
- 受付業務
- 事務作業
医師の施術や診療の補助
- 美容外科:切除や縫合を伴う治療を実施する
- 美容皮膚科:レーザー照射や注射といった「切らない」治療を行う
美容クリニックの診療科は、大きく上記の2つに分類できます。美容看護師のメインとなる業務は、一般的な病棟看護師と同じように医師の施術や診療の補助を行うことです。
しかし、美容看護師ならではの仕事も多く存在します。整形手術の補助を担当したり、医師の指導の元で以下のような施術を自ら行うことも珍しくありません。
- レーザー機器の操作
- ピーリング薬剤の塗布
- 美容注射・点滴
カウンセリング・クロージング
美容看護師が担う特徴的な業務として、施術を控えたお客様のカウンセリングが挙げられます。
初めて美容クリニックを訪れるお客様は緊張している方が多いです。お客様に安心して施術を受けてもらうために、悩みを親身になってヒアリングしたり、施術内容を丁寧にわかりやすく説明するスキルが求められます。
美容クリニックの中には、化粧品やサプリメントといった物販を取り入れているところも少なくありません。
物販は美容クリニックの貴重な売上の一部。美容看護師にはお客様のスキンケア習慣や肌悩みに応じて最適な商品を提案したり、商品の魅力をわかりやすく伝えるクロージング力が必須です。
一般的な病棟とは異なり、美容クリニックは「きれいになりたい」というお客様の希望を叶え、満足してもらう「サービス業」としての側面が強いです。そのため、美容看護師は高いレベルの接客スキルやコミュニケーション力が重要視されます。
服薬指導や施術後のアフターケアに関する説明を行う際にも、接客マナーを心得た真摯な対応を心掛けなければなりません。
受付業務
一般病棟では、予約対応や受付を担う専門のスタッフが常駐していることがほとんどです。しかし、美容クリニックの中には受付専任のスタッフを雇用しておらず、美容看護師が受付や電話対応を兼任するところもあります。
営業時間や予約の取り方といった事務的な質問をされたり、施術時の肌への刺激が強い、施術の効果が出ないといったクレームに対応しなければならないケースも考えられます。
ただし、お客様からのクレームを1人で解決しなければならないといったことは基本的になく、上司や医師と相談した上で対応することがほとんどです。
事務作業
- カルテ管理
- 薬剤の管理
- 備品の片付け・消毒
- 美容機器のメンテナンス
上記のような事務作業も美容看護師の仕事の一部です。美容クリニックを運営するスタッフの数が少ないほど、美容看護師がより幅広い業務を担う傾向にあり、中には美容看護師が院内清掃を担当するケースもあるようです。
クリニックの規模に応じて看護師業務以外を任されることも少なくない点は、病棟看護師とは大きく異なる特徴の1つだと言えます。
美容看護師として働くメリット
美容看護師として働く際のメリットについて、病棟看護師として勤務する場合と比較しながらご紹介します。
- ワークライフバランスが取りやすい
- 基本給が比較的高い
- 院内の環境が整っている
- 美容の知識を身に付けられる
ワークライフバランスが取りやすい
病棟看護師の場合、診療科によっては日勤と夜勤のシフト制を採用していることが多いです。入院している患者様からの呼び出しや救急の患者様に対応する中で常に慌ただしく動かなければならず、残業が増える、休憩時間がなくなるといった事態も珍しくありません。
美容クリニックでは、基本的に患者様が入院することはなく、救急もほとんど発生しないため夜勤がないことが一般的です。残業時間も少ない傾向にあり、ワークライフバランスが取りやすいです。
基本給が比較的高い
保険が適用されない自由診療をメインとしているため、美容クリニックは利益率が高い傾向にあります。地域やクリニックの規模によって異なりますが、美容看護師の年収はおよそ400〜500万円と、病棟看護師よりも高めに設定されることが多いです。
さらに、クリニックによっては施術や物販による売上に応じてインセンティブを設けているところも少なくありません。安定した収入を得られることに加え、頑張りが給料に反映されやすく、高収入を目指すことも可能です。
院内の環境が整っている
お伝えしているように、美容医療は「接客」という側面が強い業種です。お客様の満足度をアップさせるために、院内の内装や設備は特にきれいに整備されています。清潔な環境で働くことができるのも、美容看護師のメリットの1つだと言えます。
美容の知識を身に付けられる
美容看護師は美容医療の施術に関してだけでなく、以下の4点についてもお客様に説明できる程の知識を備えておかなければなりません。
- 施術後のアフターケア
- 日々のスキンケア
- 最新の美容製品や機器の情報
- サプリメントや化粧品に関する知識
美容のトレンドは急速に変化していくため、最新の情報を集め、知識をアップデートし続ける必要があります。
日々情報を追い続けることには大きな苦労が伴いますが、美容に精通することができれば、自分自身のケアを始めとした様々な場面で生かすことができるでしょう。
美容看護師として働くデメリット
病棟看護師とは異なるメリットややりがいがある一方で、美容看護師には以下のようなデメリットがあります。
- まとまった休みを確保しづらい
- 病棟看護師とのギャップが大きい
- 病棟看護師に転職する際のハードルが高い
まとまった休みを確保しづらい
休日に来院する方が多い美容クリニック。お盆やゴールデンウィークといった世間一般の大型連休に合わせた休診はほとんどなく、むしろ繁忙期となることが一般的です。
平日に人の流れを避けて出かけたり旅行したりすることはできますが、土日休みの家族や友人と予定を合わせることは難しいでしょう。
病棟看護師とのギャップが大きい
健康に不安を抱えた方を支える病棟看護師は、患者様の思いに寄り添いながら接することが求められます。医師の指示の元で点滴や薬剤を塗布するだけでなく、以下のような医療行為も日常的に実施します。
- 人工呼吸器の設定
- 採血
- 酸素投与量の調整
- カテーテルの交換
一方、美容看護師はお客様に満足してもらうことを最大の目的としており、丁寧な言葉遣いや正しい接客マナーを踏まえた質の高いコミュニケーションが要求されます。病棟看護師が行うような医療行為を実施する機会はほとんどありません。
このように、患者様との関わり方や仕事内容がかなり異なるため、病棟看護師と似たイメージを抱いて美容看護師になった方は、大きなギャップを感じてしまう可能性が高いです。
病棟看護師に転職する際のハードルが高い
お伝えしているように、美容看護師と病棟看護師では扱う症例や業務内容が大きく異なります。美容看護師から病棟看護師への転職を検討する場合、美容看護師としての実務経験は採用の場で生かせないことが一般的です。
特に、病棟看護師としての経験が浅い方や病棟での勤務に大きなブランクがある美容看護師は、病棟看護師に転職するハードルが高くなりやすい傾向にあります。今後病棟看護師としての勤務を見据えている方は、キャリアプランについて十分に検討することが大切です。
美容看護師の採用事情
インターネットやSNSで誰でも気軽に美容に関する情報を入手できるようになった昨今。美容医療のニーズは年々高まってきています。新たな美容クリニックが次々に開業している中、美容看護師の需要も大きくなっています。
ただし、ワークライフバランスが取りやすいことや、看護師免許の他にスキルや経験が不要なこともあり、美容看護師は人気の高い職種です。慢性的な人手不足が問題となっている病棟看護師に比べると、採用の倍率は高い傾向にあります。
育成に費やせる労力が限られている小規模の医院では経験者が重宝されやすく、未経験者の採用は難しいことが多いです。
ただし、将来性を見据えて若手の採用に力を入れている医院も少なくありません。大手のクリニックでは、接客や施術のスキルに関する研修を手厚く実施してくれることが多いです。従って、未経験の方でも美容看護師を目指すことは十分可能だと言えます。
美容看護師の仕事内容は病棟看護師と大きく異なる
病棟看護師と比較すると仕事内容やお客様との関わり方が大きく異なる美容看護師。美しくなりたいお客様をサポートする、スキンケアについてアドバイスするといった大きなやりがいを感じることができます。
ある程度経験を積んだ後のキャリアプランについて十分検討した上で、ぜひ美容看護師を目指してみてください。
美容看護師の他にも、美容業界に携われる職種は多数存在します。株式会社NBSでは、美容機器の導入を検討しているサロン様をサポートする様々な職種について募集を行っています。興味のある方は、ぜひこちらのサイトをチェックしてみてください。