人々の美容意識が高まっている昨今では、個人でサロンを開業される方も増えてきています。しかし、自宅サロンの廃業率は高く、多くの方が開業後、失敗に終わってしまっています。
そこで本記事では、開業後に失敗してしまう自宅サロンの共通点と、自宅サロンを成功させるポイントを中心に解説いたします。
先人の経験を活かし、魅力的な自宅サロンの開業を実現しましょう。
自宅サロンの廃業率
まずは自宅サロンの開業の現実について。
新たに開業した自宅サロンの約60%は1年以内に、約90%は3年以内に廃業してしまうといわれています。
また、2023年の東京商工リサーチの調査によると、エステティック業の休廃業や解散、倒産の件数は右肩上がりで増え続けています。
これらのデータから、エステティック業界で自宅サロンとして生き残るのは非常に難しいことがわかります。なぜ自宅サロンの開業はこれほど失敗してしまうのでしょうか。
失敗する自宅サロンの共通点とは?
自宅サロン開業に失敗している店舗には共通点があります。一つずつ説明していきます。
- 単価が低い
- リピート率が低い
- 生活感が抜けていない
- 情報開示が少ない
- 財務管理が雑になっている
- 経営者としての意識が低い
- 初回来店のハードルが高い
単価が低い
「安くないとお客様は来てくれない」「自分の技術に自信がない」と考えて低価格でサービスを提供する方が多いですが、おすすめできません。確かに価格が高すぎるとお客様は来てくれませんが、安すぎても利益を出せなくなってしまいます。
一人当たりの単価が低いと、その分収益を確保するための集客が必要になります。お客様が求めるのは価格よりも価値だという意識をもって価格を設定しましょう。
リピート率が低い
リピーターが定着しないのも、開業に失敗する自宅サロンの特徴です。
新規顧客の獲得には既存顧客に用いるコストの5倍かかるという「1:5の法則」が存在するように、新規顧客の獲得にはかなりの費用と時間がかかります。
そのため、新規顧客による売上だけで経営していくと、コストの割に利益が得られず、経営が不安定になっていきます。既存顧客をリピーターとすることで、安定した収入源を確保しましょう。
安定した売上があると心に余裕が出てきて、経営も安定します。新規顧客よりも、まずはリピート率の向上を図りましょう。
生活感が抜けていない
エステサロンには非日常の感覚を味わえる空間づくりが大切ですが、自宅サロンだと生活感が出てしまう場合が考えられます。日常使いの家具や家電、家族の声や足音などはお客様に生活感を感じさせてしまい、非日常体験や特別感を期待したお客様ががっかりしてしまいます。
お客様の目につくところには私物を置かない、防音材で周囲の音が聞こえないよう対策するなど、非日常感を崩すリスクのあるものは居住空間に留めるようにしましょう。
情報開示が少ない
開業に失敗する自宅サロンでは、サロンに関する情報開示が少ないケースも多いです。
営業時間や施術内容、サロンのコンセプトなど、サロンを選ぶうえで必要な情報が少なければ少ないほど、お客様からの信頼は薄れてしまいます。公開されている情報が少ないと、来店するハードルが高くなります。
家の住所や顔写真を掲載することに対して抵抗を感じる経営者も多いですが、プライベートな情報を出さなくても、安全でわかりやすく情報を発信することは可能です。サロンの外観ではなく内観を、施術者の顔ではなく施術中の雰囲気を載せるといった工夫で、十分にサロンのイメージを伝えることはできます。
サロン側の情報発信は集客に直結しますので、工夫を凝らしながらどんどん発信していきましょう。
財務管理が雑になっている
自宅サロンだと個人経営の方が多く、財務管理がずさんになっているケースも珍しくありません。
経営や日々の仕事に追われて、財務管理まで手が回らないという方も多いのではないでしょうか。しかし、売上や支出の管理ができていないと、健全な経営を行うことはできません。
財務管理を行うと経営状況が明確になる、目標や成長戦略も立てやすくなるといったメリットがあるため、毎月欠かさないようにしましょう。
経営者としての意識が低い
エステティシャンでありながらも、経営者であることを忘れてはいけません。
どんなにエステティシャンとしての技術が優れていようと、利益を生み出し続けなければ経営は失敗してしまいます。先ほどの財務管理もそうですが、
- 何の目的でサロンをやっているのか
- お客様に提供できる価値は何なのか
- 自分のサロンの強みは何なのか
などを定期的に振り返り、経営方針を都度見直していく必要があります。経営者意識を保たないと、資金の確保や使い方が理解できず、長期的な経営が難しくなるかもしれません。
自宅サロンの開業を失敗させないためのポイント!
開業に失敗してしまう自宅サロンの共通点を踏まえて、どうすれば成功に向かっていけるのかを解説いたします。
- 適切な価格設定を行う
- 顧客の間口を広げる
- コンセプトに沿った内装にする
- 定期的に情報を発信する
- カウンセリングの技術を向上させる
- 予約システムを充実させる
- 自宅サロンの怖いイメージを払拭する
適切な価格設定を行う
集客したいからといって、サービスを安売りしてはいけません。自宅サロンでは価格を低く設定してしまう傾向がありますが、先述した通り、低くしすぎると失敗に繋がる可能性が出てきます。
お客様が求めるのは価格以上の価値です。安易に価格を下げるのではなく、どうしたら価格以上の価値を感じてもらえるかを考えましょう。
月の目標売上金額や平均来客数から、適切な金額を設定することをおすすめします。
顧客の間口を広げる
既存顧客のリピート率が安定してきて新規顧客を増やそうという状況では、顧客の間口を広げてみるのも一つの手です。
上述したように、新規顧客だけで売上を出すのは非効率的です。まずは既存顧客のリピーターを確保しましょう。その後子供や男性、高齢者といった新たな客層にアプローチし、ターゲット層を広げてみましょう。
既存顧客からの売上も大事ですが、それだけでは売上は伸びていきません。店舗のフェーズに応じて集客を見直すことをおすすめします。
コンセプトに沿った内装にする
サロンで大事な非日常感を演出するには、店舗の内装にもこだわらなければいけません。
インテリアの色や素材を統一する、照明や小物でムードを演出するなど、方法は様々です。清潔感やおしゃれさのある空間を作ることで、お客様に落ち着いて過ごしてもらいましょう。
安心感のある空間はお客様の緊張や警戒を緩和し、店舗への信頼度を高めることができます。
定期的に情報を発信する
定期的な情報発信も大切です。お客様へ提供している情報量が多ければ多いほど、信頼を得ることができます。
SNSを活用すれば、施術内容や料金などの基本情報の発信だけでなく、潜在層へのアプローチを無料で行うことができます。写真やデザインを用いて視覚的に訴求すると、ユーザーに響く宣伝になるでしょう。
情報提供はスピードが大切です。施術内容や料金などの改定やキャンペーンの告知は、すぐに発信するようにしましょう。
カウンセリングの技術を向上させる
自宅サロンの特徴は、お客様と1対1で密に関わる点です。大手のサロンだと毎回違うスタッフが対応することが多いですが、自宅サロンは経営者がお客様の対応をすることが一般的です。
お客様に「ずっとこの人の施術を受けたい」と思ってもらう手段の一つとして、カウンセリングの技術を向上させることが挙げられます。
丁寧な接客やカウンセリングは、お客様の信頼を得ることに繋がります。お客様の話をしっかり聞き、悩みに寄り添い、最適な提案ができるエステティシャンを目指しましょう。
予約システムを充実させる
お客様がどこのサロンを利用するかを判断する要素の1つとして、予約の取りやすさが挙げられます。
どれだけ優れた施術を行えるエステティシャンがいても、予約がなかなか取れなかったり、高額なキャンセル料金が発生したりするとお客様は他店に流れてしまいます。
LINEや予約システムを用いて24時間ネットで予約やキャンセルができるような仕組みを整えると、お客様の利便性が上がり、集客に繋がる可能性が高まります。
自宅サロンの怖いイメージを払拭する
自宅サロンに対して怖いイメージを抱いている方も少なくありません。そういったネガティブな印象を取り除くのも、開業を成功させるためのポイントです。
お客様に安心してもらうための策はたくさんあります。
- ドアの鍵を開けておく
- 監視カメラを設置する
- 無理な勧誘をしない
以上のような策を打つことで、お客様に信頼される自宅サロンを開業しましょう。
魅力的な自宅サロンの開業を成功させよう
自宅サロンは個人経営であることが多く、集客や施術、売上管理など、すべきことがたくさんあります。
しかし、経営者としての業務とエステティシャンとしての業務を両方行わなければ、長期的な経営は実現できません。本記事を参考にポイントを押さえ、先人の失敗を活かし、魅力的な自宅サロンの開業を目指しましょう。
株式会社NBSでは、サロンの開業を支援させていただいております。弊社の開業運営支援のプロフェッショナルが責任をもってサポートいたします。ぜひ一度、お気軽にご相談ください。