医療脱毛は以前より身近な施術として広く認識されつつあり需要が拡大しているため、新たに開業する医療脱毛クリニックが増えてきています。
競争の激しい医療脱毛業界において「儲かる」経営でクリニックを長く続けていくためには、どういったポイントに注意すれば良いのでしょうか。
今回のコラムでは、医療脱毛市場の現状をご紹介するとともに、医療脱毛クリニックを開業する流れや儲かる仕組みについて詳しく解説していきます。医療脱毛クリニックを経営している方や今後開業を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
医療脱毛市場の現状
インターネットやSNSを通して、美容に関する情報を誰でも簡単に入手できる昨今。多くの脱毛クリニックがSNSや動画広告といった様々な媒体を使って積極的に情報を発信しており、医療脱毛は以前よりずっと身近な存在となりつつあります。
また、年齢や性別に関わらず人々の美意識が向上しており、高いお金を払ってでも脱毛クリニックに通い、半永久的な脱毛効果を手に入れたいと考える方は多いです。
上記のような背景から、医療脱毛市場は年々拡大してきています。医師が開業することを前提としており脱毛サロンに比べて開業するハードルが高いとはいえ、新規のクリニックは増加傾向にあります。
医療脱毛クリニックの開業準備
医療脱毛クリニックの場合、以下のように開業準備を進めることが一般的です。
- 開業資金の確保
- クリニックのコンセプトの策定
- 物件の選定
- スタッフの確保
- メニューや料金の設定
- 集客に用いる媒体の検討
- 備品の用意
- 開業手続き
開業資金の確保
まずは、開業に必要な資金を確保しなければいけません。立地や規模によって異なりますが、医療脱毛クリニックの開業資金はおよそ1,300万円と言われています。具体的には、以下のような費用が必要となります。
- 物件の契約費用
- 建築・内装工事費用
- 医療機器・設備費用
- 備品代
- 初期の人件費・光熱費
- 広告宣伝費
脱毛サロンで使用される、光を照射するタイプの業務用脱毛機の場合、およそ100~300万円で新品の機器を入手できます。
一方、脱毛クリニックで使用される、レーザーを照射する医療用の脱毛機を新品で購入しようと思うと、800万円を超える金額が必要となることも珍しくありません。
脱毛サロンと比べて脱毛クリニックの開業に膨大な初期費用が必要となるのはこのためです。
医療脱毛クリニックの開業に必要な資金は、融資を依頼することで確保することが一般的です。審査に通りやすくなるよう、融資を依頼する際には明確な事業目標を決め、利益の確保が見込める事業計画を策定しましょう。
脱毛クリニックを開業する際には、以下の機関に融資を依頼することができます。それぞれの審査基準や金利に応じて、自分に合った融資元を検討してみてください。
- 日本政策金融公庫
- 都道府県の信用保証協会
- 銀行
- 福祉医療機構
- リース会社
クリニックのコンセプトの策定
お伝えしているように、医療脱毛業界では年々競争が激しくなっています。数あるクリニックの中からお客様に選ばれ続けるためには、クリニックのコンセプトを明確に定めることが重要です。
コンセプトを検討する際には、価格や施術の効果といった普遍的な強みは避けることをおすすめします。より安く施術を行うクリニックが近隣にできたり、競合の医院が最新の機器を導入したりすると、強みとしての役割を失ってしまうためです。
医療脱毛クリニックの場合、他院だけでなく脱毛サロンも競合とみなすべきです。医療脱毛ならではの魅力やクリニックならではの強みをアピールできる、以下のようなコンセプトを策定しましょう。
- 丁寧なカウンセリングでお客様の悩みに特化したメニューをご提案する
- 夜遅い時間帯に営業していて仕事帰りにも通える
物件の選定
経営方針が定まったら、クリニックを構える物件を選んでいきます。物件を選定する際には、家賃や工事に関する制約に着目することをおすすめします。
家賃が高すぎる物件を契約してしまうと毎月のランニングコストがかさんで経営状態に大きく影響してしまいます。
テナントを借りて開業する場合は、燃える材質を使用できないといった工事を行う際の制約が少ない方が、イメージ通りの内装や外観を実現できる可能性が高いです。
脱毛クリニックの立地は売上を左右する要因の1つであるため、慎重に検討してください。以下のようなポイントを十分に確認し、集客が期待できるかどうかを吟味した上で開業する場所を決定しましょう。
- 駅からのアクセス
- 近隣のクリニックや脱毛サロンの売上状況
- ターゲットとするお客様の居住地からの距離
スタッフの確保
クリニックを円滑に運営していく上で、スタッフの確保は欠かせません。
医療脱毛は医師免許あるいは看護師免許を持っていなければ行えない医療行為です。看護師が施術する場合も、医師の指導のもと行う必要があります。無資格のスタッフが施術を担当することがないよう、資格を有したスタッフを最低限確保しておきましょう。
自ら来院したお客様に施術を提供する「サービス業」としての側面もある医療脱毛。クリニックのスタッフには機器の操作スキルだけでなく、以下のようにお客様への気配りや思いやりを持った「接客」の能力も求められます。
- お客様の悩みを親身に聞く力
- 脱毛の仕組みをわかりやすく説明するカウンセリング力
- 施術中にお客様の様子をこまめに気遣う力
美容クリニックでの勤務経験がないスタッフを雇用する場合は、ご紹介した力を身に付けてもらえるよう、開業前の研修に力を入れることをおすすめします。
メニューや料金の設定
いよいよメニューや料金を決めていきます。以下のようなポイントを押さえて設定しましょう。
クリニックのコンセプトに沿って決定する
- 高級感を打ち出すクリニックでオーダーメイドのメニューを設ける
- 親子連れをターゲットとする医院では子ども脱毛のメニューを設ける
上記のように、コンセプトや集客するターゲットに合わせたメニューを設定しましょう。来院してくれたお客様に合った施術を提供することができ、顧客満足度を高めることができます。
価格競争に惑わされない
競争の激化とともにどんどん価格相場が低下している医療脱毛ですが、無理に価格を安くする必要はありません。価格競争は今後も続くことが予想され、一度価格を下げた後により安い料金を打ち出すクリニックが現れるといったことが起こり得るためです。
より安く施術を受けられるクリニックができれば、お客様は簡単に離れてしまうでしょう。
集客に用いる媒体の検討
クリニックを開業したばかりの頃は、大手のクリニックやサロンに比べるとどうしても認知度が劣ります。集客の施策を明確に定めず開業すると、安定した売上を確保することは難しいです。以下のような媒体を活用して集客力をアップさせましょう。
- ホームページ
- SNS
- パンフレット
- ブログ
- ポータルサイト
- 口コミ
また、SNSにホームページのリンクを設置するというように、複数の媒体を組み合わせて集客することをおすすめします。SNSを通して認知してくれたユーザーにホームページでより詳しい情報を伝えるなど、効率良くお客様の来院に繋げることが可能です。
備品の用意
- 脱毛機器
- ベッド・シーツ
- タオル
- ガウン・ショーツ
- ユニフォーム
- 消毒用品
- シェーバー
- 荷物かご
- 空調設備
医療脱毛クリニックを開業する際には、主に上記のような備品が必要となります。ただし、開業準備に費やせる資金は限られている方がほとんどでしょう。こだわりたい備品をある程度絞り、それ以外の備品については予算をできる限り抑えると良いです。
開業手続き
いよいよ開業に向けて手続きをしていきます。脱毛クリニックを開業する場合、保健所や厚生局、税務署などの様々な機関に届け出や手続きを行わなければなりません。
提出してから受理されるまでに1ヶ月近くかかる書類もあるため、開業のスケジュールには十分に余裕を持っておくことをおすすめします。以下を大まかな目安としてみてください。
- ~1年前:事業計画の策定
- ~半年前:立地・物件選び・資金の調達
- ~4ヶ月前:内装工事・脱毛機器の選定
- ~3ヶ月前:スタッフ採用・集客媒体の選定
- ~1ヶ月前:スタッフ研修・開業手続きの完了
医療脱毛事業で「儲かる」経営術とは?
医療脱毛クリニックでより多くの利益を獲得するために、以下の3点を踏まえて経営することをおすすめします。
- 初期費用を抑える
- 適切な価格設定を心掛ける
- 収支の管理を徹底する
初期費用を抑える
クリニックの経営がある程度軌道に乗るまでは、安定した利益を得ることは難しいです。開業準備や開業初期にかかる固定費を削減し、資金にある程度余裕を持った状態で開業を迎えることをおすすめします。
ゆとりのある経営をすることで、将来の発展を見据えた投資が可能となります。繁忙期である6~9月にキャンペーンを実施する、広告宣伝を行う媒体を増やすといった施策で利益を伸ばし、「儲かる」経営を目指すことができます。
適切な価格設定を心掛ける
無理に価格を下げたり、相場と比べて過剰に高い料金を設定することはおすすめできません。経営が立ち行かなくなったり、お客様が離れてしまうリスクがあるためです。
お客様が脱毛サロンやクリニックを見比べる際の基準の1つとして、サービスの質と価格のバランスが挙げられます。
近隣のクリニックや脱毛サロンの価格やサービスの質、集客力について、自分のクリニックと比較しながらチェックし、価格設定が適切であるかどうかを定期的に見直しましょう。
経営状態やお客様のニーズとバランスが取れた最適な価格設定を行うことで、集客力アップと利益の最大化を同時に達成できる可能性が高まります。
収支の管理を徹底する
経営を円滑に進めて利益を獲得するためには、毎月の収支を徹底して管理することが欠かせません。市場規模やクリニックの経営状態、長期的な経営戦略をもとに、月単位で目標を設定しながら管理しましょう。
クリニックで発生した出費は細かく記録することをおすすめします。余分に発生している費用を把握して経費を削減することが可能です。
儲かる仕組みを理解して経営に生かそう
続々と新たな医療脱毛クリニックが誕生している昨今、クリニック間の競争は激化しており、経営が立ち行かなくなってしまう医院も少なくありません。
新規のクリニックを開業し、安定した経営を継続するためには、効率の良い運営によって最大限の費用対効果を得ることが欠かせません。ご紹介してきた開業準備のポイントや「儲かる」仕組みを取り入れて、将来を見据えたクリニック経営を目指してみてください。