どんな企業やお店でも、日々の売上に関する情報を集めて整理する売上管理を行っているでしょう。
しかし、ただ売上に関する数値を集めるだけで、経営に関する現状を把握したり、売上をアップさせる施策の考案に活用したりできていない方も多いのではないでしょうか。
今回のコラムでは、脱毛サロンにおける売上管理を経営戦略に活かす方法について解説していきます。
脱毛サロンが売上管理を行う目的
脱毛サロンが売上管理を行う目的としては、以下の2点が挙げられます。
- 売上の安定や向上を図る
- 経営の課題を発見する
売上の安定や向上を図る
サロンの売上は、経営状況を反映しています。売上の推移をしっかりと管理することで、サロンの経営についての現状を把握できます。
- 数値をもとに人気の高い施術部位や客層などを分析する
- 売上をアップさせるための施策を考案し、実行する
- 行った施策の結果に応じてまた次の施策を考える
上記のサイクルを繰り返すことによって、売上の安定や向上に繋げることができるでしょう。
経営の課題を発見する
売上に関する情報を日々管理していると、経営に関する問題点が数字として可視化できるようになり、解決すべき優先順位が見えてきます。
さらに、どの部位の施術が人気なのか、どんな客層の来店が多いのかといった幅広い観点で考察すると、課題が発生した原因を見出すことができるでしょう。
売上管理の手順
脱毛サロンでは、以下のような手順で売上管理を行っていきます。
- 売上目標を設定する
- データを記録、集計する
- 定期的に分析する
- 改善策を考案する
売上目標を設定する
始めに、売上を管理する際の指針となる売上目標を設定します。
「3年後までに2店舗目を出店する」「年間の売上を200万円アップさせる」といった長期的な計画から逆算して考えると良いです。明確なビジョンがあれば中期的、短期的なプランを立てやすく、いつまでにどれくらいの利益が必要なのかを見通すことができます。
売上目標が実現できなさそうな場合は、一度プランを見直してみても良いかもしれません。
データを記録、集計する
来店したお客様のデータを記録し、集計していきましょう。施術内容や支払金額だけでなく、その日の天気や気温、お客様の年齢や性別を記録しておくことをおすすめします。後に様々な視点で分析でき、売上の向上に繋がるきっかけが見つかるかもしれません。
また、売上管理で集めた数値に誤りがあると、顧客の情報や集客に関して間違った分析をして、不適切な施策を行ってしまう可能性があります。
そのため、誰でも簡単に記録できるフォーマットを作成したり、入力ルールを決めたりすることで、担当するスタッフに関わらずデータを正確に効率良く集計できると良いです。
定期的に分析する
集めたデータは放置せず、定期的に振り返ってみてください。
結果の良し悪しに関わらず、売上が変化した原因を追究することが大切です。売上が改善した背景に有効な施策がある場合は、今後の経営戦略の参考にすることができます。売上が減少しているケースでも、その原因がわかっていれば対策を練りやすいでしょう。
改善策を考案する
優先度の高い課題について、改善策を考案していきましょう。
- 新規顧客の獲得
- リピート率の向上
- 顧客の来店頻度を上げる
- 客単価を上げる
- 商品単価を検討する
売上をアップさせる方法として、主に上記の5つが挙げられます。どの方法で売上を改善させるかによって、効果的な施策は異なります。新規顧客を増やすために紹介キャンペーンを実施するというように、目的に合わせた改善策を実施できると良いです。
売上管理で必要となるデータ
売上管理を経営に繋げていくために必要となるデータや、有効な施策を具体的にご紹介します。
時間帯別の売上
お客様の来店時間を記録して、客数が少ない時間帯を把握しておきましょう。
予約の少ない時間帯を狙って施策を実行することで、効率良く売上をアップさせられます。時間帯を限定した割引キャンペーンを実施する、DMやLINEで予約に空きがある時間帯を告知するなどの対策が有効です。
商材別の売上
商材ごとに売上を算出すると、人気の高い施術メニューや売れ行きの良い商品を知ることができます。
特に、店頭で販売する化粧品などの商品は、施術メニューと比べて利益率が高いです。物販のラインナップを入れ替えたり、よく売れる商品を目立つ位置に配置したりすることで、効果的に売上を向上させられます。
顧客別の売上
顧客別に売上を管理することで、お客様の来店頻度や好みを掴みやすくなります。個々のニーズに応じて最適なサービスを提案したり、しばらく来店していないお客様にメールなどで再来店を促したりするといった施策に繋げられるでしょう。
担当者別の売上
複数のスタッフを雇用しているサロンでは、担当者ごとに売上を把握するのが難しいです。そのため、担当者別の売上を記録することをおすすめします。結果が良くないスタッフと綿密にコミュニケーションを取り、的確なアドバイスができると良いです。
前年/前月の売上状況
過去の売上状況は、実施した施策の成果を把握したり、経営の方向性が間違っていないかを判断したりするための大切な指標です。
また、年間を通して売上がどのように推移するかを知れることも、過去のデータを把握することの大きなメリットです。閑散期に割引などの特典を設ける、繁忙期に人員を多めに確保して回転数を上げるといった対策を練りやすくなります。
目標進捗率
目標達成率を見て一喜一憂するだけでは、経営の改善に繋げることができません。売上目標の進捗率を定期的に確認し、必要に応じて修正してみてください。
進捗が良い場合は、目標を上方修正することで、従業員のモチベーションを維持しつつより良い成果を目指せます。
目標の進捗が悪く達成できそうにないと、スタッフの意欲が低下してしまう可能性があります。下方修正したり、重点的に取り組む課題を絞り込んだりすることで、サロンの士気を高めてみてください。
脱毛サロンの予算管理について
サロンの利益を導き出すためには、売上だけでなく予算も管理しなければなりません。ここからは、脱毛サロンの予算管理についてご紹介します。
脱毛サロンにおける支出の内訳
- 家賃
- 脱毛機のランニングコスト
- 水道光熱費通信費
- 人件費
- 消耗品代
- 広告宣伝費
脱毛サロンを運営していく際には、上記のような支出が発生します。また、脱毛機を維持するためのランニングコストには、ランプの交換費用や定期的なメンテナンス代などが含まれています。
予算管理を行う流れ
脱毛サロンにおいて予算を管理する手順を解説していきます。
- 売上目標を踏まえて予算を設定する
- 支出を集計、分析する
- 改善策を実施する
売上目標を踏まえて予算を設定する
売上目標と必要な利益のバランスを考慮して予算を設定します。以下に示す適正比率(予算全体に対する各項目の理想的な割合)の目安を参考にして、予算額やその割り当てを決定していきましょう。
- 家賃(10%)
- 水道光熱費(3%)
- 消耗品代(10%)
- 広告宣伝費(5%)
支出を集計、分析する
実際の支出を集計し、設定した予算と比較して妥当性を評価します。お客様に提供するサービスの質を保つことを前提として、予算を削減すべき項目を洗い出していきましょう。
例えば、集客に関わる広告宣伝費や、施術の質に関わる脱毛機のランニングコストを削るべきではありません。これに対して、消耗品や電気代といった費用はできる限り削減することが望ましいです。
改善策を実施する
一般的に、サロンにおいて最も削減しやすいのは消耗品代であると言われています。品質の高いものを安く提供してくれる業者の選定、無駄使いの防止などに取り組んでみてください。
売上管理で得られた時間帯別の売れ行きをもとに、無駄なく人員を配置することで人件費を削減するのも有効です。
予算を削減できればその分純利益が増加するため、予算に関する改善策を実施することは、利益率の向上に繋がりやすいと言えます。
売上管理や予算管理の手段
売上管理や予算管理を実施する手段として、以下のようなものが挙げられます。
- Excel
- 会計ソフト
- 売上管理ソフト
Excelを使えば無料で売上や予算を管理できますが、数値を入力するフォーマットを自分で作成しなければなりません。
専用のソフトを用いると、売上管理にかかる手間を大幅に削減することができます。しかし、専用ソフトは導入費や維持費が少なからず発生してしまいます。また、担当者がソフトの操作方法を覚えて使いこなせるようになるまでに、時間がかかるかもしれません。
スタッフの負担や、売上管理や予算管理そのものに費やせる予算のバランスを考慮して手段を決定すると良いです。
サロンの未来を見据えた売上管理をしよう
地道に売上データを集めるだけでなく、蓄積した数値を分析し、改善策を実施することで、売上の安定や向上を図れます。売上をアップさせられれば、サロンの経営状態も改善していくでしょう。
今回ご紹介したポイントを踏まえて、長期的なプランを定め、目的意識を持って売上管理を実施してみてください。