エステティシャンに関する資格はたくさんありますが、実は美容系サロンを開業する上で資格を取得する必要はありません。勘違いしてしまう方も少なくありませんが、資金さえあれば、何の資格もない初心者が開業することも可能です。
ただ、開業する上で資格を取得することは決して無駄ではありません。具体的にどのようなメリットがあるのか、どのような資格がおすすめなのか、丁寧に解説していきます。
サロン開業に資格は必要ない
冒頭でも解説した通り、美容系サロンを開業するのにこれといった資格は必要ありません。エステティシャンなどに関する資格の中に、取得が必須の国家資格がないためです。
そのため、エステティシャンに関する資格は全て民間団体が取り扱っているということになり、極端に言えば、素人でもエステティシャンを名乗ることができます。
ただし、美容院に勤める美容師、まつげエクステサロンに勤めるアイリストは例外で、どちらも美容師免許が必要になります。そのことが「エステティシャンになるには国家資格が必要」という誤解を招く主な原因になっています。
一部のサロンは美容所登録が必要
美容室やまつげエクステサロンを開業するには、美容師免許の取得だけでなく、美容所登録が必要になります。美容所は大まかに美容室や理容室のことを指しますが、全ての店舗が登録を義務付けられています。
もし登録なしに営業を行った場合、美容師法に違反したとして、30万円以下の罰金が科せられます。
万が一、お客様に何らかの損害を与えた場合は、業務上過失傷害罪が適用され、さらに重い刑罰が科せられる可能性があります。
各サロン開業におすすめの資格
各サロンを開業するにあたり、それぞれどのような資格がおすすめなのか紹介いたします。自分が興味がある分野をチェックしてみてください。
- エステサロン
- 脱毛サロン
- ネイルサロン
- アロマテラピーサロン
- ヘアサロン(美容室)
- まつげエクステサロン
エステサロンにおすすめの資格
全身をきれいにすることが目的であるエステサロンでは、フェイシャルエステやボディエステのほか、様々なメニューが取り揃えられていることが多いです。その分、エステティシャンも広い知識や技術が求められるため、特に資格を有するメリットが大きいと言えるでしょう。
以下の資格が特におすすめです。
- AJESTHE認定エステティシャン(一般社団法人日本エステティック協会)
- AEA認定エステティシャン(一般社団法人日本エステティック業協会)
どちらもエステティシャンとして基本的なスキルを身に付けることができますが、それぞれ上位資格もあります。実務経験が少ない方でも順番にステップアップしていくことができるでしょう。
脱毛サロンにおすすめの資格
脱毛サロンでは出力が高い業務用脱毛機を使用します。効果は高いものの、万が一操作や設定を誤った時のリスクは決して小さくありません。
施術を行うには、脱毛に関する正しい知識を身に付けておく必要がありますが、そのためには以下の資格の取得がおすすめです。
- JEPA認定美容ライト脱毛エステティシャン(一般社団法人日本エステティック振興協議会)
- 脱毛士検定(一般社団法人日本脱毛安全普及協会)
光脱毛はもちろん、肌の構造や発毛のメカニズムについても学ぶことができます。
ネイルサロンにおすすめの資格
個性のあるデザインや繊細な技術など、ネイリストはその人のスキルが顕著に表れる職業だと言えるでしょう。エステティシャンと同様、資格がなくてもネイルサロンを開くことはできますが、基本的な知識・技術を身に付けるためにも資格の取得はおすすめです。
- JNECネイリスト技能検定(公益財団法人日本ネイリスト検定試験センター)
- JNAジェルネイル技能検定(NPO法人日本ネイリスト協会)
特にジェルネイルは、全国のネイルサロンの6割以上で導入されているとされている人気メニューであるため、新規顧客の開拓にも繋がります。
アロマテラピーサロンにおすすめの資格
エッセンシャルオイルを用いて、心身のリフレッシュや美容効果を図るアロマテラピー。通常のマッサージとは一味違う体験をもたらすことができますが、有効に活用するためにも正しい知識は不可欠です。
- AEAJアロマテラピー検定(公益社団法人日本アロマ環境協会)
日本アロマ環境協会はアロマテラピーに関する協会の中で唯一の公益法人です。他にも複数の資格を取り扱っていますが、最も基本的な知識を学べるのがアロマテラピー検定なので、まずはここからスタートすると良いでしょう。
ヘアサロン(美容室)におすすめの資格
そもそも美容師になるには美容師免許が必要になりますが、プラスアルファで他の資格を取得するのもおすすめです。
- ヘアケアマイスター認定試験(日本ヘアケアマイスター協会)
- パーソナルカラリスト検定(一般社団法人日本からリスト協会)
名前の通り、それぞれ髪の毛のケアや色彩に関する知識を習得することができる資格で、どちらも美容師には必須のスキルですよね。熱心なリピーターを増やすためにも、特別なスキルを身に付けて競合との差別化を図ることが望ましいです。
まつげエクステサロンにおすすめの資格
まつげエクステサロンのアイリストも美容師免許が必要です。美容師と同様、他にも資格を取得しておくことで、自身のスキルアップやお客様の信頼に繋がるでしょう。
- JEAまつ毛エクステンション技能検定試験(一般社団法人日本アイリスト協会)
- アイデザイナー技能検定試験(社団法人日本まつ毛エクステンション協会)
基本的な技術だけでなく、より安全に施術を行うためのスキルを習得できる資格です。初めてまつげエクステを体験するお客様は少なからず不安を抱えているため、資格をアピールし、安心感を与えてあげましょう。
サロン開業における資格の必要性
美容師免許は例外ですが、前述した通り、サロン開業のために何か資格を取らなければならないということはありません。それにも関わらず、資格の取得が推奨されているのはなぜなのか、具体的には以下の理由が挙げられます。
- 知識・技術を向上させるため
- お客様の信頼を得るため
- 従業員の評価の指標になるため
知識・技術を向上させるため
資格を取得する主な目的は自身の知識や技術を向上させることです。資格の取得難易度が高いほど、取得のための勉強を通して多くのことを学ぶことができるでしょう。
また、特定の職場に固定されていると、どうしても新しい情報が手に入りづらく、成長が滞ってしまう恐れがあります。常に新鮮な情報をキャッチできる状態であることが望ましいですが、資格の勉強は有効な手段の1つです。
お客様の信頼を得るため
資格を持っているということは、相応のスキルが備わっているという証明であり、お客様から高い信頼を得られます。もちろんスキルで全てが決まるわけではありませんが、難易度が高い資格を持っていることをアピールすることで、高い集客効果を発揮する場合もあります。
従業員の評価の指標になるため
従業員に資格の取得を推奨している職場も多いですが、その目的はただ従業員がスキルアップできるからというだけではありません。
例えば、取得した資格に応じて給与をアップするというシステムを導入している会社も多いです。資格が評価の指標になることで従業員のモチベーションに繋がり、積極的にスキルアップに励むようになります。
資格を取得する際の注意点
最後に資格を取得する時の注意点について解説していきます。以下の点を覚えておきましょう。
- 実務経験が必要な資格がある
- 受験料金をチェックする
- 難易度の高い資格に挑戦することが大切
実務経験が必要な資格がある
資格の中には、受験にあたって何らかの条件が設けられていることがありますが、中でも注意したいのが実務経験です。条件を満たしていないと受験すらできないため、あらかじめ確認しておきましょう。
受験料金をチェックする
受験料金も資格によってバラバラです。中には10万円以上かかる資格もあるため、どの資格を受験するか選ぶ時は、料金も確認しておきましょう。
特に、これからサロンを開業する場合、多額の費用が必要になります。備品や改装工事などの準備に比べて、資格取得の優先順位は特別高くないため、計画的に取得を検討しましょう。
難易度の高い資格に挑戦することが大切
3つ目はできるだけ難易度が高い資格に挑戦するということです。高難易度であるほど、勉強の中で得られるスキルが多く、集客効果も高いというメリットがあります。
ただし、未経験者がいきなり高難易度の資格に挑戦するのは難しいです。基礎の資格から挑戦し、徐々にステップアップしていくのがおすすめです。
資格の取得は開業後でも遅くありません
解説した通り、資格がなくてもサロンを開業することは可能ですが、お客様の信頼を獲得し、新規顧客を増加させるためにも、資格の取得は有効です。各業種ごとに様々な資格があるので、一度確認してみましょう。
ただ、開業前は準備で何かと忙しくなるため、時間に余裕がなければ開業後に取得するのもおすすめです。受験費用も安くはないため、しっかりと準備して万全の状態で望みましょう。