一昔前に比べて一般的になってきた男性の脱毛。拡大し続ける需要に合わせて、男性向けの脱毛サロンやクリニックも増えてきました。
今回のコラムではメンズ脱毛サロンの開業を検討している方向けに、資格や届出、サロンの経営を成功させるための注意点などもあわせて解説していきます。
もくじ
メンズ脱毛サロンとは
その名の通り男性向けに脱毛施術を行うエステサロンのことを指します。
今や美容や脱毛は女性だけのものではありません。男性でもスキンケアは当たり前に行い、女性と同じく、日常的にムダ毛処理をする方も増えてきました。
ヒゲだけではなく、胸や足、全身脱毛を希望する方も増え、ツルツルの無毛状態だけではなく毛量調節を行うだけ、デザインを整えるだけなどニーズも様々です。
メンズ脱毛サロンを開業するメリット
男性向けの脱毛サロンが増えている理由は、需要の高さだけではありません。経営者側としても大きなメリットがあります。
- 他サロンとの差別化
- 客単価のアップ
他サロンとの差別化
脱毛サロンは特別なスキルが無くても開業できるため、新規参入がしやすい市場です。しかしこれは、ライバル店が多く、差別化が出来なければ経営は途端に厳しくなるとも言えるでしょう。
男性向けの脱毛サロンは、女性向けのサロンと比較するとまだまだ店舗数が少なく、競合との差別化を図ることが可能です。また、ヒゲなどを毎日処理をしている男性は非常に多いのに関わらず、実際に脱毛をしている方は1割程度という事実も、今後もメンズ脱毛が伸びていくと予想できる要因です。
近隣で同じようなコンセプトの店舗が無ければ、大きなビジネスチャンスとも言えるでしょう。
客単価のアップ
女性向けの脱毛サロンに比べて、男性向けの脱毛サロンのほうが価格設定が高めです。これは以下の3つの理由が関係しています。
- 高性能な業務用脱毛機が必要になる
- ムダ毛の生える範囲が広い
- しぶとく太い毛が多いため回数を重ねなければいけない
満足度の高い施術を提供すれば、リピーターを獲得しやすく、お店の経営を安定へと導いてくれます。
メンズ脱毛サロンで必要な資金は
女性向けでも男性向けでも、脱毛サロンを開業するのに必要な資金は特に変わりません。まずは、店内で必要となる備品や消耗品について考えていきましょう。
備品・消耗品
- 業務用脱毛機
- 施術ベッド
- 施術着
- タオル
- レジ
- メニュー表
- ソファ
- カウンセリングシート
- 消耗品(ジェルやショーツなど)
中でも、業務用脱毛機は非常に高額で100万〜400万円ほどの費用がかかります。また、男性向け脱毛サロン開業を考えた時、男性の毛質や肌質に対応できる高性能の業務用脱毛機を選ぶ必要があります。開業時にかかるイニシャルコストを押さえるために、レンタルやリースを検討するのも手です。
スタッフを雇う場合は、人件費の計上も忘れずに行いましょう。ただし、人件費は家賃や業務用脱毛機の購入と並ぶ大きな費用となります。
オープン直後から経営が安定する店舗はごく少数です。ランニングコストを下げるためにも、サロンの運営が軌道に乗るまでは、過剰にスタッフを雇用せず、採用計画は慎重に行うのがおすすめです。
また、備品ではありませんが、集客にかかる広告宣伝費もあらかじめ、計上しておきましょう。
内装外装費
内装外装費は、開業時の大きな出費のひとつです。人気のエリアに敷地面積が大きなテナントを借りれば、当然家賃と敷金礼金はかさみます。
店舗の内装や外装費は開業場所により、全く異なるため以下の3つに分けて説明していきます。
- 賃貸マンションでの開業
- 自宅での開業
- テナントでの開業
賃貸マンションでの開業
賃貸マンションやテナントビルの一室を借りて開業する形です。
外装はほとんど変えることができないため、施術部屋やカウンセリングルームの装飾のみとなります。予算としては、最低200万円ほど用意しておくと安心です。
ここで注意したいのが、開業するためには管理会社や大家さんに許可を取る必要があります。
多くの場合、賃貸契約を結ぶ時に、住居用での契約を行っています。もし、マンションで開業をする場合は、住居用ではなく事業用の契約を結び直さなければいけません。すでに入居をしていても、許可が下りないことや敷金礼金の支払いを追加でお願いされることもあるでしょう。
管理側としては、住居用として貸し出していたマンションに不特定多数の方が出入りするとなれば防犯面の不安もあります。許可するとなれば、新たに対策を講じる必要があり、費用を請求されるのは当然のことです。
営業日が少ないから、会員制サロンだから、などと黙って営業を続けていた場合、契約違反の違約金の支払いや退去を命じられる可能性があることは覚えておいてください。
自宅での開業
家事や育児との両立しやすさや開業資金を抑えられるのがメリットの自宅サロン。予算としては、100万円前後を計上しておきましょう。
敷金礼金が無いため、部屋のリフォームが費用のほとんどを占めます。自宅サロンの場合は施術室だけではなく、生活感の切り離しを目的とした玄関や水回りのリフォームをプラスで行う場合は費用はもう少し必要です。
テナントでの開業
最後にテナントを借りて開業する形です。テナントと一口に言っても、タイプがさまざまで費用に大きな幅が生じます。
居抜き物件と言われる、前テナントの備品などが残っている状態とスケルトン物件と言われるコンクリートや配線がむき出しの構造躯体のみの物件では、内装費が大きく異なります。
スケルトン物件の場合、最低でも400万円程は考えておきましょう。
多くの場合、テナントを借りる際には敷金礼金に加え、保証金が必要です。目安としては賃料の10か月が相場と言われています。内装外装費に加えて、こういった費用も用意しておきましょう。
自己資金が足りないときは融資の調達を
説明してきた通り、脱毛サロンを開業するためのコストは決して安いものではありません。自己資金でまかなえない場合は以下のような資金調達を検討してください。
- 日本政策金融公庫による融資を活用する
- 助成金や補助金を活用する
- ビジネスローンを活用する
日本政策金融公庫による融資を活用する
開業や独立を支援してくれる「日本政策金融公庫」にはさまざまな融資制度があります。脱毛サロンの開業で活用されるのは主に以下の3つです。
- 女性、若者/シニア起業家支援資金
- 新規開業資金
- 生活衛生新企業育成資金
利用する制度により、対象者や条件、融資金額、返済期間など要件が異なります。
助成金や補助金を活用する
経済産業省や厚生労働省、地方自治体などで申請できる助成金や補助金もチェックしましょう。
これらのメリットは返済義務が発生しないことです。もちろん、細かい条件や厳しい審査がありますが、うまく活用できれば開業資金を大きくまかなえる可能性があります。
ビジネスローンを活用する
多くの美容機器メーカーでは、分割払いやローンなどを活用できます。
脱毛機器を始めとする、美容機器は非常に高価でイニシャルコストの中でも大きな負担となります。まとまった自己資金がないという方はぜひ相談してみてください。
メンズ脱毛サロンを開業するために必要な資格
脱毛サロンは業務用脱毛機があれば開業することができ、特別な資格が不要です。そのため新規参入がしやすいのも大きな特徴です。
開業するための資格は必要ありませんが、資格を通してお客様に知識や技術をアピールすることが可能です。特に、脱毛サロンでの就業経験が無く、美容業界未経験の場合はお客様に安心して施術を受けいただくためにも民間の資格を取得し、脱毛に関する知識を学ぶのも良いでしょう。
脱毛サロンで活用できる代表的な民間資格には以下の4つがあります。
- 認定美容ライト脱毛エステティシャン(JEPA)
- 認定電気脱毛士(CPE)
- 3級脱毛士・認定脱毛士・上級脱毛士(日本脱毛安全普及協会)
- JEM認定エステティシャン(日本エステティック経営者会)
ここで注意しておきたいのが、エステサロンでは光脱毛しか行えないということ。医療機関で行うレーザー脱毛は医師もしくは看護師しか施術を行うことができません。また、施術場所についても、医療機関である必要があります。
元看護師で有資格者であろうと、エステサロンでレーザー脱毛を提供することはできないことを覚えておきましょう。
メンズ脱毛サロン開業で必要な届出は?
脱毛サロンに問わず、個人で事業を立ち上げる時には開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)を提出する必要があります。期限を過ぎても特に罰則はありませんが、開業の事実があった日から1か月以内の提出を目指しましょう。
また、特別控除を受けられる「青色申告」を行う場合は、開業届と一緒に提出するのが一般的です。提出が無い場合は自動的に「白色申告」になります。
関連記事はこちら
脱毛サロンに開業届は必要?メリット・期限・提出方法を解説
特別控除を受けられる青色申告がおすすめ
事業を始めると、毎年確定申告を行い、所得に応じた税金を支払う必要があります。この確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類があり、青色申告は最大65万円の税金が特別控除されます。
その他にも、赤字を3年間繰り越せる(赤字の場合は所得が無いため、課税はなし)という大きなメリットがあるため、是非活用したいものです。
この青色申告を行うためには、開業時に「青色申告承諾申請書」を税務署に提出する必要があります。ある程度所得を見込めるのであれば、青色申告のほうがお得と言えるでしょう。
首上のシェービングメニューがある場合は届出を
特別な届出が不要な脱毛サロンですが、首から上のシェービングを行う際は保健所への届出が必要です。
内装の工事を進める前に保健所に相談に行きましょう。提出書類や段取りの確認を行い、開業の1週間前までに書類の提出と審査の申請を行いましょう。
立ち入り検査が必要となるため、余裕を持ち早めに相談しに行くのがおすすめです。
メンズ脱毛サロン開業までの流れ
- コンセプト設計
- ターゲット・ペルソナ決定
- 物件・脱毛機選定
- 事業計画書の作成
- 資金調達
- 内装外装工事・備品購入
- 採用活動
- 集客・告知活動
- 施術練習・スタッフへの研修
- オープン
- 必要書類の提出
多少順番は前後しますが、一般的には開業までは上記のように進んでいきます。
脱毛サロンを開業するまでには非常に多くのタスクがあります。例えば、物件選定といっても、出店エリアの検討や周辺競合調査、内見、契約など1日で終えることは到底無理でしょう。
丁寧に進めていくのであれば、期間は余裕を持って1年ほど見積もっておくと安心です。
経営初心者はフランチャイズも視野に入れる
経営方法のひとつにフランチャイズがあります。
フランチャイズとは、フランチャイズ本部(フランチャイザー)に加盟店(フランチャイジー)が、保証金やロイヤリティを支払う代わりに、商標の使用権やサービスの販売権、経営ノウハウなどを提供してもらえるシステムです。
個人で開業するとなれば、施術の準備、内装外装、メニュー考案、届出の提出などすべて一人で行わなければならず、大きな負担がかかります。フランチャイズのメリットは、経営初心者でも成功しやすいよう、サポートしてもらえることにあります。
ただし、自由度が低かったり、利益が少ないうちもロイヤリティの支払いが発生したりする可能性もあります。契約内容は企業によって異なるため、何社か比較するのがおすすめです。
メンズ脱毛サロンの注意点
経営者にとっても非常にメリットの大きいメンズ脱毛サロンですが、お客様が男性だからこその注意点もあります。
- スキンケアや除毛方法について説明する
- 需要に合わせてメニューを作る
- 業務用脱毛機にこだわる
- 防犯対策を整えておく
- 集客方法についても考えておく
スキンケアや除毛方法について説明する
男性でも化粧水やローションなどでスキンケアを行う人が増えて来ました。しかし、女性と比較すると、まだまだ手入れを行わない人が多いことは念頭に置いておきましょう。特に全身脱毛を施術する場合は、普段から全身を保湿ケアしていただく必要があります。
合わせてお客様に確認をしたいのが、ムダ毛の自己処理方法です。特にヒゲは、剃るのがマナーという風習があり、男性でも日常的に処理を行っている方が多数いらっしゃいます。
シェーバーでの逆剃りや往復で何度も剃るなど、肌への負担が大きな自己処理を避けるために、正しい除毛方法を伝えましょう。
また、手入れのお願いだけではなく、誤った除毛方法を続けることのリスクもしっかりと伝えてください。男女問わず、手間の面倒さから抜け出したい、きれいな肌になりたいと考えて、脱毛サロンに通っている気持ちは変わりません。
より結果を出すためにも必要なケアだということをしっかりと伝え、お客様に普段の生活から協力していただきましょう。
需要に合わせてメニューを作る
メンズ脱毛で特に人気のメニューは以下の3つです。
- ヒゲ
- 脚
- 全身脱毛
それぞれメニューを考えるうえで大切なポイントを詳しく説明していきます。
ヒゲ
毎朝のお手入れに手間を感じていたり、肌トラブルに悩んでいたりする方が多いのがヒゲです。メンズ脱毛で圧倒的に人気の部位でもあります。
女性と比べて範囲が広いため
- 鼻下
- アゴ
- アゴ下
- 頬
- もみあげ
など、さらに部位を分割したメニュー展開が一般的です。
脱毛施術は一度行うと、元に戻すことはほぼできません。ヒゲなどはデザインや毛量調整の要望に応えられるように、流行や人気のデザインをチェックしておくとお客様も安心していただけるでしょう。
脚
男性でもすね毛の処理を考える方が増えてきました。ショートパンツを着用する時の見栄えだけではなく、スポーツを行う方はパフォーマンスの向上やケガをしてしまった時の処置のしやすさなど実用性を目的とする方もいらっしゃいます。
脱毛回数の調節を行い、自然な形で毛量を減らしたり、無毛にしたり、しっかりとカウンセリングで聞き取りを行いましょう。
全身脱毛
ムダ毛が無い状態のほうが筋肉が美しく見えるため、トレーニングを趣味とする方の中では全身脱毛が人気です。
ほかにも、介護を見越してVIO脱毛を行う40代〜50代の方など、一口にメンズ脱毛といってもさまざまな需要があります。お客様の多様なニーズに答えられるように単調なメニューではなく、幅広いメニュー展開を考えましょう。
業務用脱毛機にこだわる
メンズ脱毛サロンを開業するに当たって一番の注意点が業務用脱毛機の選び方です。男性のムダ毛は女性に比べて太くしぶとい毛が生えているのが特徴。
そのため、女性向けに作られた業務用脱毛機では思ったように効果が出ず、結果として顧客が離れていく原因にもなります。
出力を上げて施術する方法もありますが、その分肌トラブルのリスクが上がるためおすすめできません。脱毛機にメンズ向けのモードがあるものを選んでおくのが良いでしょう。
また、大切なのはパワーだけではありません。痛みを防止するための冷却機能なども合わせてチェックしましょう。
脱毛施術は、皮膚が薄い、毛が太い部位は痛みを強く感じやすいという特徴があります。男性の場合ほとんどの部位がこの条件に当てはまるため、痛みを強く感じやすくなります。
施術にストレスを感じてしまえば、足が遠のくのは当たり前です。デモ体験などを通し、痛みは最小限でサービスを提供できるように配慮しましょう。
防犯対策を整えておく
施術や受付スタッフに女性がいる場合に、考えておきたいのが防犯対策です。
脱毛は施術者がお客様の肌に直接触れて施術する必要があります。万が一のトラブルに対応できるように防犯カメラを設置する、契約には身分証明書の提示を必須にするなど、スタッフが安心して働けるように環境を整えるのもオーナーにとっては大切な仕事です。
集客方法についても考えておく
いくらメンズ脱毛の需要が高まっているとはいえ、集客施策を練らず、脱毛サロンをオープンした場合、お客様はほとんど来ないと思っていいでしょう。
- ホットペッパーなどの予約サイトを活用
- 店舗のSNSアカウントの作成
- ホームページやブログの活用
- リスティング・SNS広告を検討
- ポスティングの活用
- フリーペーパーへ掲載
- MEO対策
脱毛市場では、大手脱毛サロンが9割占めていると言われており、顧客の取り合いは常に起こっています。大手サロンと比べて個人サロンは、駅からの利便性や大々的なキャンペーン、巨額の広告費などは劣りますが、大手サロンにはないメリットが必ずあります。
店舗のコンセプトや強みを確立し、新規顧客の獲得に励みましょう。
メンズ脱毛サロン開業を成功に導きましょう
今回のコラムではメンズ脱毛サロンを開業する上での注意点についてお話していきました。男性向けの脱毛サロンは需要の高まりに加え、経営者目線で見ても多くのメリットがあります。
- 競合店との差別化がしやすい
- 顧客単価が高い
- リピーターを獲得しやすい
メンズ脱毛サロンはビジネスモデルとしても非常に優秀です。
しかし、男性向けのサロンだからこそ気を付けたいポイントもあります。脱毛の効果を最大限に引き出すためには、業務用脱毛機選びがカギとなります。
株式会社NBSでは、最新の脱毛方式「THR脱毛」を導入した、痛くないのに脱毛効果を実感できる「CLEAR/SP-ef」を販売しております。
連射しても照射パワーにムラが出ることはなく、スピーディーな施術を実現しました。また、照射面は1℃以下の安定した温度をキープできるため、肌トラブルのリスクを軽減できるのも大きなメリットです。男性だけではなく、女性・子どもの3つのモードが搭載されているので、幅広い層にアプローチが可能です。