需要の高騰に伴い、競合も増え続けている美容業界。約60%のエステサロンが開業から3年以内に廃業に追い込まれているといわれる昨今において、競合を意識したサロン経営が重要であることは言うまでもありません。

そこで今回のコラムではエステサロンにおける商圏調査について解説いたします。

他店との差別化を図り、ファンを獲得するためにはどのような商圏調査が必要なのかをお伝えするので、エステサロンの開業を予定している方はぜひ参考にしてみてください。

商圏調査とは?

まず商圏調査の定義についておさらいしておきましょう。

一言で説明すると、商圏調査とは出店するエリア周辺の特性を見極め、適切な分析を行うことを指します。世間一般的に説かれている経営ノウハウも、地域によって使い分けていく必要があるため、開業準備の一貫として非常に重要です。

なぜエステサロンで商圏調査が必要なのか?

どのようなビジネスでも商圏調査は必要ですが、エステサロンにおいては特に重要です。なぜそのようなことがいえるのか、理由としては以下の項目が挙げられます。

  • 競合が激しいから
  • お客様は近さで選ぶから
  • サービスと周辺住民には相性があるから

競合が激しいから

前提として、エステサロンは非常に競争が激しい業界です。緻密な事業計画を立てないことには成功は難しいといえるでしょう。

そのため、高い技術を持っているスタッフが所属していたり、高品質のサービスを提供するだけでは不十分です。もちろんそれらも大切な要素ではありますが、商圏内のユーザーや周辺の競合を意識したお店作りを心掛ける必要があります。

お客様は近さで選ぶから

ここ数年で形ある商品を取り扱うビジネスではどんどんオンライン化が進み、ターゲティングの領域も広がりつつあります。

一方、エステサロンのようなサービスを提供するビジネスはお客様に店舗まで足を運んでもらう必要があります。つまり、費用や接客態度など、サロンの良し悪しを評価する項目は様々ですが、まず大前提としてお客様は近くのお店でないと選んでくれません。

そして商圏が限定されるということは一見難易度が下がるように感じられますが、その分出店エリアに特化したマーケティングを行う必要があります。

サービスと周辺住民には相性があるから

収入や年齢など、地域によって住人の特性は大きく異なります。例えば、ファミリー層が多い住宅街と、大学の近くにある学生街とではターゲットが全く異なりますよね。

そして商圏内で効率的に集客するには、ターゲットとの相性を考えてサービス内容や料金を考案する必要があります。もちろん母数となる世帯数も考慮する必要があるため、じっくりと時間をかけて分析することが望ましいです。

商圏調査はどの範囲を見ればいい?

商圏調査を行う場合はまずどの程度の範囲を調査するかを絞り込む必要がありますが、この時考えなければならないのが移動手段です。

公共交通機関が発達している都市部であれば徒歩や自転車がメインの移動手段というターゲットも多くなりますが、地方では別です。誰もが車を所有しているような地域であれば、商圏は一気に広くなるでしょう。

  • 徒歩:1km
  • 自転車:5km
  • 車:30km

一般的に、移動手段別の商圏の範囲は上記のようになります。まずはどの移動手段での来店が想定されるかを取り決め、どのような属性の人がターゲットとなるかを精査しましょう。

競合サロンの調査はどうやってする?

商圏調査ではそのエリアの住人だけでなく、競合も調査する必要があります。その場合、まずはどのような手段で競合を調べればいいのかを解説します。

  • Googleマップを見る
  • ポータルサイトを見る
  • 公式HPを見る
  • 実際に利用してみる

Googleマップを見る

どこに競合があるかを確認する時、まず利用するのはGoogleマップではないでしょうか。

Googleマップはお客様がエステサロンを検索する際、最も利用するツールの1つということもあり、商圏調査に使わない手はありません。これから一つひとつの競合を調べるという際、まずはGoogleマップを使って競合をリストアップすると良いでしょう。

ポータルサイトを見る

Googleマップに並んで大きな影響力を持つのがポータルサイトです。こちらも商圏調査を行う上では無視できないでしょう。

Googleマップとの違いとして挙げられるのは詳細に絞り込み検索できるという点です。料金や駅からの距離、駐車場の有無など、競合となり得るジャンルについては特に細かくチェックしておきましょう。

公式HPを見る

Googleマップやポータルサイトで各競合をリストアップしたら、それぞれの公式HPを見てみることも重要です。上記の媒体とはまた違った情報を得ることができるでしょう。

自身のサロン運営の参考になる要素も多いので、特徴を把握しつつ、吸収できる部分はどんどん吸収していきましょう。

実際に利用してみる

実際に足を運んで、サービスを利用してみるというのもおすすめです。

新規顧客を集客できるかはここまで解説したようなネット上のツールによる部分が大きいですが、またリピートしたいと思ってもらえるかは来店時の満足度次第です。

人気店はただ集客が上手くいっているだけでなく、何かしらの魅力があると考えられるため、なぜそのお店の顧客はリピートするのかを分析し、そこも自身のサロン運営に活かしましょう。

競合サロンの調査ではどこを見る?

続いて、競合サロンの調査で具体的にどこを見ればいいのかを解説します。上の媒体を使用する際に参考にしてください。

  • メニュー・料金
  • 営業時間・休業日
  • 内装・外装
  • 口コミ・評価
  • 周辺の施設

メニュー・料金

やはり肝心なのはメニュー内容とその料金です。どのサロンが、どういったサービスを、いくらで提供しているのかは大まかにでも把握しておきましょう。

エステサロンのユーザーは最初に複数の店舗を利用し、どこが1番良いかを比較するケースも多いため、まずは自身のサロンの強みをお客様目線で決めましょう。

もちろん品質でも安さでも上回ることがベストではありますが、そう簡単にいくものでもありません。

  • 自分ができること
  • 競合ができないこと
  • 顧客が求めていること

以上の3つが合致するポイントを探り、訴求していくのが重要です。

営業時間・休業日

お客様の通いやすさにも直結するのが営業時間や休業日です。

例えば、オフィス街であれば平日遅くまで営業している、住宅街であれば週末も営業しているといったように、エリアによって営業時間にも違いがあるはずです。

もともと土地勘がある場所に出店するのであれば、この点は問題ないかもしれませんが、もし慣れない土地に出店する場合、営業時間や休業日の設定にはくれぐれも注意してください。

内装・外装

お客様にとってエステサロンという空間は少なからず特別感を覚えるものです。

  • 月に1回の楽しみ
  • 仕事で疲れ切った身体を癒したい
  • たまには少し贅沢をしてみたい

このように普段の忙しない生活のことは一旦忘れて、非現実的な時間を楽しみに来るお客様もたくさんいますが、そのために大切なのが内装や外装です。

人気サロンになるにはしっかりとコンセプトを定め、それに合わせた内装や外装にすることが重要です。

口コミ・評価

Googleマップやポータルサイトで各サロンの口コミを確認しておくことも重要です。

評価点はもちろんですが、口コミの中にはユーザーの満足度を上げるヒントがたくさん隠されています。例え他人のエステサロンであっても、利用者の生の声は大いに参考になるでしょう。

周辺の施設

最後にお伝えするのが周辺にどのような施設があるのかをチェックしておくということです。

例えばすぐ近くにスーパーやショッピングモールがあれば、主婦が買い物ついでに寄りやすくなりますよね。ジムやスポーツ用品店があれば、運動をしている方が利用してくれるかもしれません。

このように周りの施設からどのような人が来店しやすいかをイメージし、店舗を作り込んでいきましょう。

エステサロンを成功させるために商圏調査は欠かせない

エステサロンにおける商圏調査の重要性や、実際の調査方法などについて解説いたしました。

文中でもお伝えしたように、エステサロンは大変競争が激しい業界です。十分に計画を練らずに開業しても、上手くいく可能性は高くないでしょう。

今回のコラムのように、当サイトではサロン運営のノウハウや役立つ情報を定期的に発信しています。興味がある方はぜひ他のコラムもご覧ください。