エステサロンを開業する前に考えておきたいのが資金計画。
開業準備をしていると物件探しやメニュー選定などに気を取られて、お金のことはついつい後回しにしてしまいがちです。しかし、資金計画は店舗の経営をいち早く軌道に乗せるためにも、経営者として最初にしっかりと考えておきたいところ。
今回のコラムでは、資金計画の重要数値である利益率について解説していきます。
利益率とは
粗利に対して利益がいくらなのかを計算した数値が利益率です。
利益率は以下で計算することができます。
- 売上-売上原価=粗利
- 粗利÷売上×100=利益率
どれだけお客様を集客できていて売上を確保できていても、経費とのバランスが取れていなければ赤字経営に陥ります。開業直後は売上額に目が行きがちですが、注目しなくてはいけないのは利益率です。
ビジネスを展開している以上、利益を出していくことは至極当然なことです。事業を大きくしたい、自身の年収も上げていきたいと思うのであれば、コンスタントに高い利益率を維持していく必要があります。
売上と利益と粗利の違い
混同されやすい言葉に「売上」と「粗利」があげられます。
- 売上
- 粗利
売上
売上とは、商品を販売したりサービスを提供したりなど、事業で得られた収入を計上するときの勘定科目です。
事業で得られた収入のみを指すため、事業活動以外で得た収入は該当しません。
粗利
上述した計算式にもある通り、売上から売上原価を差し引いた額が粗利です。売上原価の例としては以下のような経費が挙げられます。
- 家賃
- 人件費
- 水道光熱費
- 広告宣伝費
- 消耗品費
正式な会計用語では「売上総利益」といわれ、会社が会計期間でどれくらいの利益を出したかを計上することが可能になる数値です。
月の売上が300万円あるサロンを想定して計算式に当てはめてみましょう。
- 300万【売上】-200万【売上原価】=100万【粗利】
- 100万【粗利】÷300万【売上】×100=約33.3%【利益率】
この場合、粗利は100万円、利益率は33.3%となります。
エステサロンの平均的な利益率
一般的にエステサロンの利益率は15%前後と言われています。飲食業界をはじめとしたサービス業は利益率が10%前後とも言われているため、比較的利益率が高い業種といえます。
気を付けなければいけないのが、この平均的な利益率には、開業にかかった費用は含まれていません。業務用の美容機器導入費用、内装工事費など開業には多額のコストがかさむため、開業当初は利益率は上がりにくくなります。
エステサロンの利益率を上げる秘訣
利益率を上げるには以下の2つの方法しかありません。
- 売上額を伸ばす
- 経費を削減する
では、エステサロンの運営の場合、具体的にどのような手法が考えられるでしょうか。利益率を上げる具体的な方法をご紹介します。
- 新規顧客を増やす
- リピート率を上げる
- 客単価を上げる
- 物販で売上を確保する
- 経費を抑える
- 作業の効率化を測る
新規顧客を増やす
まずは、多くのお客様を集客して売上を作ることです。
開業したばかりの時は、新規顧客の獲得数が売上に直結します。開業前から広告宣伝費を計上し、戦略立てた集客計画を立てていきましょう。
エステサロンの主な集客方法は以下の通り。
- ホームページ・ブログ
- SNS
- ポータルサイト
- Googleビジネスプロフィール
- Web広告
- 折込チラシ・フリーペーパー
- 口コミ・紹介
ターゲットやサロンコンセプトに合わせて、集客方法を選定していきましょう。
この時に忘れてはいけないのが、どの媒体が集客にどれくらい効果があったのかという費用対効果についても確認することです。単に来店数だけではなく、その後のリピート率や顧客層についても記録しておきましょう。次回以降、より効果的に広告出稿を行うための判断材料になります。
サロンの集客については、こちらから関連記事をご覧ください。
リピート率を上げる
経営成功のカギを握るのがリピーターの獲得です。リピーターが中心のエステサロンは、安定した売上が獲得できるだけではなく、新規集客にかかる広告宣伝費を抑えることが可能です。
結果的に売上のアップと経費の削減が叶うため、事業が安定しやすくなります。
リピート率が極端に悪いのであれば、サービスや施術の質の見直し、ターゲットと現状のお客様との乖離がないかなど早急に対策を練りましょう。繰り返し通いやすいようにポイントカードやクーポンなどを活用するのも手です。
関連記事:エステサロンのリピート率が低いのはなぜ?改善策も徹底解説!
客単価を上げる
売上額は【売上単価×顧客数】で決定します。つまり、顧客数を増やすだけではなく、客単価を上げることも有効です。
適切なメニュー価格に加えて、コースメニューの追加や見直しは常に必要です。
エステサロンにいらっしゃるお客様は美容感度の高いお客様が多く、いつまでも同じようなメニューでは物足りなくなってしまうことも。積極的に新しいメニューを取り入れて、お客様に提案していきましょう。
フェイシャルエステと合わせて脱毛、リンパマッサージに加えてマシンによる痩身施術など、組み合わせることでもっと効果を実感できる相性のいいメニューもあります。常にアンテナを貼り、お客様に喜んでいただけるメニュー展開を考えましょう。
物販で売上を確保する
店舗の売上アップに役立ってくれるのが、化粧品やケア用品などの物販です。
経済産業省のデータによると、エステティック業の売上の内、3割(33.7%)が物品販売によって構成されています。(引用:経済産業省/エステティック業の概況)
仕入れ原価がかかるため、利益率は施術に劣りますが、適切なホームケアで効果を感じやすくなったり、定期的な購入が望めたりとメリットが大きいのも確かです。
専売品といわれるエステサロンでしか購入できない商品を取り扱ったり、OEMで独自アイテムを販売したりブランディングにも一役買ってくれます。
経費を抑える
経費削減を考えたときに真っ先に行うのがコストの細分化です。
家賃や美容機器のレンタル代、スタッフの給料などの固定費は簡単に削ることはできません。売上が増減しても固定費は必ず発生するのが特徴です。
消耗品や備品、広告宣伝費は変動費と言われるコスト。必ずしも比例するわけではありませんが、一般的に売上が増えると変動費も上がることが多いです。
つまり、売上に対してどれだけこの変動費を抑えることができるかが利益率アップに繋がります。
経費の見直しと聞くと、単純に仕入れ価格を下げることに意識がいってしまいますが、消耗品の質を下げるのはナンセンスです。仕入れ先の変更や仕入れ量を変えることでコストを抑えられないか調べてみましょう。
作業の効率化を測る
直接的に売上や経費削減に繋がるわけではありませんが、作業の効率化を測ることで、結果的に他の業務に費やす時間が増えていきます。
- 予約
- カルテ管理
- 売上状況
- スタッフのシフト
など、エステサロンにはオーナー様が管理すべき様々なデータがあります。
一つひとつはわずかな時間でも、積み重なっていけば膨大な時間が必要です。電子化を進めることで、1日の予約数を増やせたり、カウンセリングに時間を割いて満足度を上げたりと売上の増加に役立ってくれますよ。
エステサロン経営の成功には利益率が重要
エステサロン経営を安定させるためには売上だけではなく利益率をチェックしていかなければいけません。開業前にしっかりと資金計画を立てておけば、オープン後も目標が明確になり、経営状況の把握を行いやすくなります。
- 備品が壊れた
- 思わぬトラブルが起きた
- 病気やケガになった
など、収入が途絶えてしまうリスクがあることも忘れてはいけません。万が一に備えて準備しておくこともオーナー様も大切な役割です。
エステサロン経営について不安を感じているときは、外部の会社に頼むのも1つ。コンサルティング会社に依頼するのももちろん良いですが、美容機器メーカーに相談してみるのもおすすめです。
多くの美容機器メーカーでは顧客様向けにアフターサポートを用意しています。NBSでも長年美容業界に携わり、直営店の運営も行ってきたノウハウを基に開業前から一貫してご相談いただけます。
- 開業までの流れ
- 助成金補助金の手続き方法
- 予算計画のアドバイス
- 集客計画の立て方
- サロン経営の注意点
- 実践型セミナー
など、ご希望に合わせてゼロから支援可能です。具体的なサポート内容が気になる、コンサルティング会社を検討していたオーナー様など、ぜひ一度ご相談ください。