サロンに訪れたお客様に記入していただく「カウンセリングシート(カルテ)」。

カウンセリングは、お客様の今の状態や悩みを引き出し、解決へ導く提案を行うために非常に重要な工程です。カウンセリングシートはその糸口になる重要なヒントが詰まっています。

今回のコラムでは、カウンセリングシートの作成・活用方法を、エステティックサロンなどを経営するオーナー様、開業を控えたオーナー様向けに解説していきます。

エステサロンにおけるカウンセリングシートの目的とは

お客様にカウンセリングシートを記入していただくのは、アレルギーや体調不良によるトラブルを避けるだけではなく、その他にも多くのメリットがあります。

  • 顧客の分析に使用できる
  • 信頼関係の構築
  • お客様満足度の向上

顧客の分析に使用できる

エステサロンの経営を軌道に乗せるには、お客様の分析が欠かせません。

  • どんな悩みにどうアプローチしたのか
  • リピーターになってくれたお客様の共通点は何か
  • どんな集客施策が有効なのか
  • スタッフによって満足度の差は無いか

など、多角的な目線で情報を読み取りましょう。関係性を見つけることで、自店の弱点を補うことが可能になります。

信頼関係の構築

いくら人気のサロンでも、信頼関係を構築できなければ、お客様はリピートしてくれません。

カウンセリングはエステサロンの接客において肝となる部分です。新規で来店するお客様の緊張を解き、悩みに寄り添えるよう、「悩みを正直に答えてもらえるか」を意識してカウンセリングシートを作成しましょう。

お客様満足度の向上

お客様に満足していただくには、悩みや来店するきっかけなどを正しく聞き取り、期待を上回る施術を提供することが大切です。お客様の情報をなるべく多く引き出すことで、適切なメニューの提案が可能になります。

マッサージ店を例にあげましょう。

身体のだるさに悩み、来店されたお客様。仕事はデスクワーク。毎日遅くまで働いていて、マッサージや整体にはなかなか通うことができず、運動もほとんどしていない。

こうした情報があれば、全身のマッサージではなく、肩や腰の重点的なケアを行ったり、日常で行える簡単なストレッチをアドバイスしたりと、お客様の悩みに対する解決方法がぐんと広がります。

お客様のことを正しく理解して行う接客は、満足度を向上させ、リピーターの獲得に繋がります。

また、施術前後のお客様の変化を記しておくのもおすすめです。数値や写真で残すことで、どれだけ効果が出たのか、より分かりやすくなります。お客様が通い続ける理由の後押しをしてくれます。

カウンセリングシートに入れたい項目

先述した通り、カウンセリングシートは、非常に重要な役割を担っています。

では、より効果的なカウンセリングを行うためには、具体的にどんな項目をカウンセリングシートに入れると良いのでしょうか。

最低でも抑えたい項目は、以下の7つ。

  • 個人情報
  • 店舗を知ったきっかけ
  • 健康状態
  • 来店理由、悩み
  • 他サロンに行ったことがあるか
  • ライフスタイルについて
  • お客様の希望について

ただ記入して終わってしまう「形だけのカウンセリング」にならないよう気を付けましょう。
詳しく説明してきます。

個人情報

お客様の基本情報は必ず記載してもらいましょう。

  • 名前
  • 住所
  • 生年月日
  • 緊急連絡先

誕生日や再来店を促すDMを送付するのであれば、DMの送付有無も合わせて確認してください。

店舗を知ったきっかけ

効果的な集客方法を選択していくために、店舗を知るきっかけになった媒体は何か確認してください。

  • SNS
  • ホームページ
  • フリーペーパーなど
  • 看板
  • DM・チラシ
  • ネット検索
  • ホットペッパーなどの予約サイト
  • 口コミ(誰からか)
  • その他

どの集客方法がどんなお客様に向いているのか分かれば、今後の集客活動に生かせます。

健康状態

持病や既往歴などの健康状態は、施術によるトラブルが起きないように忘れずチェックしましょう。

  • 既往歴
  • 妊娠
  • アレルギーの有無
  • 整形施術の有無

アレルギーは、化粧品やオイルだけではなく、提供する飲料などにも十分気を付けてください。

また、整形の施術は、部位によってはエステと相性が悪く、避けたほうが良い場合があります。

例えば、二重整形の埋没法を行ってからのフェイシャルエステには注意が必要です。これは、整形施術に使用した糸に負担をかけることを避けるため。整形施術に使用される糸は、簡単に切れることは無いと言われていますが、万が一のことを考えてヒアリングしておくのが良いでしょう。

来店理由、悩み

お客様の来店理由は、カウンセリングで一番重要なポイントです。

お客様がエステサロンに来店するのには必ず理由があります。どこに対して、どんな悩みがあるのかに加えて、どうなりたいのかもヒアリングする必要があります。

カウンセリングシートだけではなかなか伝えられない可能性もありますので、シートを基にエステティシャンが自然に聞き出せるように心掛けましょう

他サロンに行ったことがあるか

エステの経験について深堀りすることで、お客様がどんなことを期待してサロンへ来店してくれたのかより理解するヒントになります。

  • エステ経験の有無
  • サロン名
  • 来店頻度

などは最低でも聞き取りましょう。

全く別ジャンルのエステサロンであれば、単純に悩みが変わっただけかもしれません。

しかし、同ジャンルで最近まで通っていたのであれば、何かしら不満があってサロンに通うのをやめている可能性があります。どんな施術を受けて結果はどうだったのか、なぜサロンを変えたのかなど、積極的に質問して、より良いサービスを提供できるようにお客様への理解を深めましょう

ライフスタイルについて

お客様の生活習慣は、悩みの根本的な解決や普段の生活のサポートを行うためには欠かせない項目です。

  • 喫煙
  • 飲酒
  • 食生活
  • 睡眠時間
  • 仕事
  • 運動の頻度
  • 普段のスキンケア

睡眠時間や食生活は、美容に大きく影響を与えます。また、喫煙や飲酒に関しても、お客様の心と体の健康状態を測る判断材料になります。

心と体の状態を正確に知り、アドバイスを行うことがより結果に繋がりやすいです。そして、お客様の美容に関する悩みは、生活環境やストレスなどが原因になっている可能性も大いにあります。質問からお客様の気持ちや実生活をイメージしましょう。

さらに、普段のスキンケアについても聞いておくのが良いでしょう。悩みの原因が普段使用している化粧品だったなんてことも考えられます。スキンケアも含めて提案が必要なのか考えてみる必要があります。

お客様の希望について

サロンに対してお客様の希望や好みを把握しておくと、接客で不快感を与えてしまうリスクを軽減できます。

  • 施術中の過ごし方
  • お時間の都合
  • 予算の希望

初めて来店するお客様は、値段に関して不安を感じる方も多いです。どのくらいの予算を希望しているかをお伺いできると、お客様のニーズに合ったメニューの提案が可能になります。

お客様がより心地よい時間を過ごしてもらうために、美容に関することだけではなく、理解を深めることが大切なのが分かります。

カウンセリングシート作成のコツ

実際にカウンセリングシートを作成する際、以下の5つのポイントに気を付けて作成していきます。

  • ボディのイラストを用意する
  • テンプレートを基にオリジナルを作成する
  • お客様の立場になって作成する
  • 記入時間は5分以内に
  • カウンセリングをイメージする

ボディのイラストを用意する

フェイシャルであれば顔のみ、全身の施術であればボディ全体のイラストを用意しておくのがおすすめ。悩みのある部位をお客様に丸を打ってもらうことで、認識の違いを防ぐことができます

書き込んでいただいたものを基に、エステティシャンがヒアリングしていくとより詳しいカウンセリングが可能になりますよ。

テンプレートを基にオリジナルを作成する

Webで「カウンセリングシート」と検索すると、様々なテンプレートが出てきますが、そのまま利用するのはNG。

カウンセリングはお客様と信頼関係を築く非常に重要な工程です。

テンプレートは、参考程度にとどめ、自分のサロンに合わせて、質問やデザインを変更しましょう。

お客様の立場になって作成する

カウンセリングシートの記入をわずらわしいと感じるお客様も少なくありません。なるべくお客様の負担を減らし、回答しやすいような質問を心掛けましょう。

例えば質問は、以下のように記述式よりも選択式にするのがおすすめです。

【NG】 どんな悩みがありますか? ( ) 【OK】 気になる悩みをチェックしてください。 ☐ニキビ ☐くすみ ☐シミ ☐シワ ☐テカリ – 1

答える内容を明確化すると、より簡単に答えられるようになります。

記入時間は5分以内に

カウンセリングシートは非常に重要だとお伝えしてきましたが、聞きたい内容をあれもこれも詰め込みすぎてはいけません。項目が多すぎると、記入するのが面倒になってしまい、モチベーションが下がってしまいます。

記入時間は5分程度で終わる量にし、回答が難しい質問や詳しく聞きたい質問はカウンセリングで引き出しましょう

カウンセリングをイメージする

シートの記入はあくまで、カウンセリングをするための糸口でしかありません。

カウンセリングはエステティシャンの腕の見せ所。シートに書かれた情報を基に、どんな背景があるのか、隠れた悩みは無いかなど想像して質問していきましょう

実際のカウンセリングをイメージして順番を並べ変えたり、自分で補足して説明・質問する内容などあらかじめ考えておくことが重要です。

また、エステサロンはお客様のパーソナルな悩みを解決する場所。ずっとコンプレックスに思っていたことや言いにくい悩みをいきなり相談するのは勇気がいるものです。

記入しにくい質問は、施術中に引き出したり、信頼関係が築けてから聞き出したりと、お客様とのコミュニケーションを深めていきましょう。

カウンセリングシートの管理方法は

カウンセリングシートはお客様が増えれば増えるほど、場所を圧迫していきます。施術前後だけではなく、予約時にも使用するため、すぐに取り出せるように管理方法には工夫が必要です。

カウンセリングシート(カルテ)には、紙タイプと電子タイプがあります。

紙タイプは、管理に手間は掛かりますが、コストが安く、誰でも使いやすいのが特徴です。

電子タイプは、オンラインで管理しやすいのが大きなメリットです。しかしシステムの導入には費用が必要になります。

【関連記事】
脱毛サロンのカルテ管理はどうしてる?紙と電子メリットデメリットを解説

カウンセリングシートにこだわってより満足度の高いエステサロンを目指そう

今回のコラムでは、カウンセリングシートの重要性や作り方についてお伝えいたしました。

よりお客様に満足していただけるためには、本音を引き出すようなカウンセリングシートを作る必要があります。

株式会社NBSでは、これまで培ってきたエステサロンの運営・開業ノウハウを生かし、開業支援も行っております。業務用脱毛機を購入いただいたお客様限定のカスタマーサイトでは、カウンセリングシートや同意書などのテンプレートを無料で配布しており、サロンオーナー様の負担を軽減いたします。

他にも、サロン運用にかかわるセミナーの開催やブランディング方法など、開業後もオーナー様を永続的にサポートいたします。

気になる方はお気軽にお問い合わせください。