経営するエステサロンを拡大していくには、従業員の採用強化や教育制度の確立が欠かせません。優秀な従業員がいないと、いつまでたってもオーナーは店舗から目を離すことができず、思うように売上も伸びていかないでしょう。
有効な手段はいくつかありますが、その1つがインセンティブを導入することです。それをきっかけに従業員のモチベーションが上がり、一気にお店が大きくなったという例は少なくありません。
そこで今回のコラムではエステティシャンにおけるインセンティブについて解説いたします。インセンティブの相場や細かいルールが気になる方はチェックしてみてください。
もくじ
エステティシャンの給与形態の種類
まずはエステティシャンの給与形態について解説いたします。
- 固定給
- 歩合給
- 固定給・歩合給
大まかに分けると、エステティシャンの給与形態は上記の3パターンです。どのパターンにもメリット・デメリットがあるため、一概にどれが優れているかは決められませんが、いずれにせよ、自身の店舗にはどの給与形態が合っているのか、慎重に検討する必要があります。
固定給から歩合給にしたことで売上が向上した例がある一方、やり方次第では従業員のパフォーマンスを下げてしまう可能性もあります。
インセンティブと歩合制の違い
ちなみに様々なエステサロンの求人情報を見ると、「インセンティブ」と記載されているケースもあれば、「歩合制」と記載されているケースもあります。
何が違うのかと疑問を抱かれた方も多いかもしれませんが、一般的にこれらの意味は同じです。表記が違っても、特に気にする必要はありません。
エステティシャンのインセンティブの相場
インセンティブを取り入れているエステサロンは多いものの、評価の指標や細かい計算方法は店舗によってそれぞれ異なります。業務委託として完全歩合制を取っているケースもありますが、一般的には給与全体の2〜3割程度がインセンティブにあたるケースが多いです。
しかし、中には圧倒的な業績を上げて、平均収入を大きく上回るインセンティブを獲得しているエステティシャンもいます。
売上が伸びている以上、サロンにとって損失が出ているわけではありませんが、必要以上に人件費が膨らむと経営を圧迫しかねません。妥当なラインを見極め、雇用する側とされる側の両方が納得できる制度を確立しましょう。
エステティシャンのインセンティブの評価対象
エステサロンによって詳細は異なるものの、一般的には以下のような項目がインセンティブの金額を決める評価対象に該当するケースが多いです。
- 指名数・指名料
- サービス・物販の売上高
指名数・指名料
主な指標の1つとして挙げられるのは指名数です。わざわざ名指しで指名してくるということは、そのエステティシャンのファンといっても過言ではないため、指標としては妥当でしょう。
また、お客様に支払ってもらう指名料をそのままインセンティブとしてエステティシャンに還元しているケースもあります。
サービス・物販の売上高
どのようなコンセプトのエステサロンかにもよりますが、メニューによって価格設定が異なると、必然的に顧客単価にも差が生まれます。
そのため、仮に指名してくれるお客様の数は同じでも、より顧客単価の高いお客様を抱えているエステティシャンの方が、エステサロンとしては高く評価して然るべきといえるでしょう。
売上という観点ではその方が妥当性が高いという考え方もあるため、通常のサービスメニューや、物販などその他の売上の合計を基準にインセンティブを支払っているエステサロンも少なくありません。
エステサロンでインセンティブを導入するメリット
エステサロンでインセンティブを導入するメリットを改めて解説していきます。明確に理解し、インセンティブを導入するか検討する際の参考にしてください。
- 売上がアップしやすい
- サロン全体の意識が高まる
- スキルが高い人材が集まる
売上がアップしやすい
やはりサロン全体の売上がアップしやすいというのがインセンティブを導入する最大のメリットといっても過言ではないでしょう。努力次第で給与の額が増えるとなると、従業員としてもモチベーションが上がります。
- 活発にコミュニケーションを取る
- 丁寧な接客態度を心掛けるようになる
- 別メニューや物販を勧める
このようなことをエステティシャン自ら実行する環境が形成されます。
サロン全体の意識が高まる
インセンティブを導入することでモチベーションがアップするのは、一人ひとりのエステティシャンだけではありません。本来なら給与の額にそこまで執着がない人材でも、他のエステティシャンが努力する姿を目にすることで、良い影響を受けることがあります。
結果としてサロン全体の意識が高まり、従業員の成長速度が著しく向上することもあります。
スキルが高い人材が集まる
インセンティブを導入すると、求人サイトなどに掲載する給与形態の欄にもその旨を記載することになります。求職者の中にはインセンティブに惹かれる人も珍しくなく、それをきっかけに応募してくれることもあるでしょう。
そして、インセンティブに興味がある人は自分のスキルに自信があるという場合が多いです。
ただ応募数の増加につながるというだけでなく、質の高い人材が集まりやすくなるため、エステサロンにとっても非常に喜ばしいことだといえるでしょう。
エステサロンでインセンティブを導入する際の注意点
最後にエステサロンでインセンティブを導入する際の気を付けなければならない点をお伝えしていきます。メリットだけではないので、以下のようなことに十分注意しましょう。
- 正社員の完全歩合制は禁止
- ペナルティ制度は禁止
- スタッフのキャリア支援は欠かさない
- スタッフ間の人間関係を管理する
正社員の完全歩合制は禁止
冒頭でエステティシャンの給与形態には以下の3パターンがあるとお伝えしました。
- 固定給
- 歩合給
- 固定給・歩合給
しかし、正社員に対して100%歩合給(完全歩合制)で雇用すると、最低時給が保証されないため、労働基準法違反ということになります。フリーランスのエステティシャンなどに対し、業務委託という形で契約する場合は問題ありません。
ペナルティ制度は禁止
中には指名数や売上のノルマを設定するエステサロンもありますが、もしそのノルマを設定できなかった際、従業員にペナルティを科すのも禁止されています。罰金などという形で減給するのはもってのほかなので、あらかじめ理解してしましょう。
スタッフのキャリア支援を欠かさない
自分自身の働き次第でどんどん給与が上がっていくインセンティブですが、大きなリスクは一部の従業員が全く出世していけない可能性があるということです。
従業員の将来のため、最低限のキャリア支援を行うのは雇用主の役割の1つ。各々の業績に関係なく、一定のサポートを行うことを忘れないようにしましょう。
スタッフ間の人間関係を管理する
インセンティブを導入すると、どうしても従業員間で給与の差が生まれます。
- 成果の悪い従業員が蔑まれる
- 成果の良い従業員が妬まれる
サロン内でこのような人間関係のトラブルに発展する可能性はゼロではありません。経営者として、一人ひとりのモチベーション管理をすることはもちろん、従業員同士の関係性にも目を向けるようにしましょう。
インセンティブを活用して優秀なエステティシャンを育成
インセンティブを導入するには決して小さくないリスクが伴うものの、上手く活用すればエステティシャンのモチベーションが上がり、サロン全体の売上アップも期待できます。
今回のコラムの内容を理解しつつ、内容をしっかりと検討した上で導入を検討してみてください。
それによってエステサロン全体に活気が出れば、来店するお客様からの印象も良くなるでしょう。