エステサロンの経営をしていると、LTVという言葉を聞くことがあります。しかし、ビジネス用語としてなんとなく知っているものの、詳しくはわからないという方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、LTV(ライフタイムバリュー)の概要と、エステサロンがLTVを意識するメリットについて解説します。LTVを向上させる方法についてもまとめているので、あわせてご覧ください。
もくじ
エステサロンのLTVとは
LTV(ライフタイムバリュー)とは、一人の顧客から得られる利益のこと。お客様がサロンに通っている間に、どれだけの売上や利益をもたらすかを表す指標です。
たとえば、初回来店で3,000円、その後10,000円のメニューを5回利用してくださったお客様のLTVは53,000円となります。
エステでは長期契約が多いため、「顧客の年間取引額 × 収益率 × 継続年数」といった式で計算することもあります。
LTVを理解することで、顧客獲得や維持にかかるコストがどのくらいまでなら利益が出るのか、といったことが判断しやすくなります。効果的なマーケティング戦略や、サービスの改善策を講じる基準としての役割も担っています。
エステサロンがLTVを意識するべき理由
エステサロンの経営でLTVを意識することは、長期的な経営の安定と成長に不可欠です。
エステサロンにおいて、新規顧客を獲得するコストは高くなりがちです。一度来店したお客様をリピーターに育てるほうが、良い費用対効果を得られます。そこで、LTVを活用し、お客様に合わせた施策を実行することが大切になります。
たとえば、LTVが高いお客様には、特別なサービスやリピーター割引施策が有効です。一方で、LTVが低いお客様には、まず定期的な来店を促すためのアプローチが必要となるでしょう。
このように、長期的な利益とお客様との関係を重視するために、LTVは欠かせない指標です。
エステサロンがLTVを高めるメリット
エステサロンがLTVを意識して経営をすることには、さまざまなメリットがあります。具体的な利点を知り、LTVを活用するイメージを掴みましょう。
集客が楽になる
お客様がリピーターとしてサロンに定着すれば、集客が楽になります。新規顧客を獲得するためのコストが削減できるほか、精神的にも負担が軽減されます。
リピーターはサロンに対して満足していることから、紹介や口コミを通じて新規顧客を呼び込む効果も期待できます。
LTVが高いお客様が増えれば収益が安定するため、集客に過度なリソースを割く必要もありません。
お客様との信頼関係が構築できる
サロンを信頼しているお客様は期待値が高く、定期的に通い続けてくれる可能性が高いです。長期間リピートしてくれることでサロン側も好みやニーズを深く理解でき、カスタマイズしたサービスを提供しやすくなります。
結果として、お客様が「特別な体験をしている」と感じ、さらに信頼が深まります。こうした信頼関係の構築によって顧客のロイヤルティが高まり、よりLTVも向上するでしょう。
事業計画の精度が上がる
サロンの収益が安定すると、事業計画の精度が向上します。平均単価や来店数が予測しやすくなるため、年間の売上見込み、施策の効果などをより正確に計算できます。
サロンのリソース配分や在庫管理などを効率的に行うことができ、無駄なコストの削減に繋げられるでしょう。長期的に安定した売上が見込めれば、新しい施術や設備の導入など、将来的な投資判断もしやすいです。
経営の見通しが立つことで、経営者は戦略的にサロンを成長させることができ、競争力を維持しやすくなります。
エステサロンでLTVを上げる方法
エステサロンでLTVを上げる方法はいくつかありますが、ここでは次の3つについて解説します。
- リピート率を上げる
- 客単価を上げる
- コストダウンする
リピート率を上げる
エステサロンでLTVを向上させるためには、リピート率を上げることが重要です。お客様が継続的に来店したくなる仕組みを構築しましょう。
たとえば、ポイントや会員プログラムなど、一定の回数通うことで特典や割引を受けられるといった施策が挙げられます。
施術後のフォローアップを強化し、信頼関係を深めることも有効です。季節ごとの特別メニューやキャンペーンで、再来店のきっかけを作るのもよいでしょう。
このほか、使いやすい予約システムを導入して再来店のハードルを下げるなど、さまざまな工夫が考えられます。
客単価を上げる
お客様一人あたりの単価を上げることは、LTVを高める効果的な方法です。次のような工夫で、より多くのサービスを利用してもらいましょう。
- 短時間・低価格のオプションメニュー
- 施術とアフターケア商品のパック
- 季節限定メニュー など
お客様のニーズに応じたカスタマイズメニューを提案するのもおすすめです。個別対応することで、顧客満足度を向上させつつ客単価を上げることが可能です。
定期的にメニューをアップデートし、常に新しい体験を提供することでリピート率と客単価を高め、LTV向上につなげられます。
コストダウンする
LTVを上げるには、収益を高めるだけでなく、運営コストを抑えることも重要です。仕入れや運営コストを削減することで利益率を向上させ、LTVを高めます。
まず、仕入れ先の見直しや割引を利用するなど、備品や消耗品のコストを抑えましょう。無駄なエネルギー消費を減らすために、節電、節水を心掛けることも有効です。顧客管理や予約システムを導入して業務効率を向上させれば、人件費を削減することもできます。
これらのコスト削減を実施することで、サロンの収益性を高め、LTVを長期的に向上させることが可能です。
【エステサロン】LTV向上に役立つデータ分析
エステサロンでLTVを向上させるためには、顧客データを活用するのがおすすめです。分析した情報をもとに施策を実行し、効果測定と改善を繰り返しましょう。
顧客データの活用
エステサロンにおけるLTVの向上には、顧客データの活用が重要です。来店履歴や施術内容、購入傾向を分析することで、それぞれの好みやニーズを把握しやすくなります。
こうした情報をもとにすれば、パーソナライズ化したメニューの提案も可能です。来店を促すキャンペーンなども、適切なタイミングで実施できるでしょう。
さらに、特定の顧客層に対するロイヤルティプログラムを提供するなど、満足度を高める施策も考えられます。
顧客データの活用によりサロンとお客様の関係性を強化し、長期的なリピーターの獲得につなげていきましょう。
効果測定と改善サイクル
LTVの向上には、施策の効果測定と改善サイクルを確立することが大切です。
施策の導入後は、データを活用してその効果を定量的に測定しましょう。何が成功しているか、改善すべきポイントはどこかなどを分析します。
たとえば、キャンペーン後の来店率や売上を比較し、リピートにつながったかどうかを確認します。
効果が見られた施策は継続し、成果が上がらなかった場合は修正が必要です。このプロセスを繰り返すことで、サービスや施策の質を向上させ、LTVを最大化させることができます。
このような改善サイクルが、顧客満足度とリピート率の向上に役立ちます。
エステサロンの経営はLTVの活用が大切
エステサロンではLTVを把握することで、お客様に合わせたメニューの提案や、適切な集客などが可能になります。LTVを向上させることでお客様との信頼関係が強化され、リピーターの獲得につながります。
単にデータを把握するだけでなく、どのように活かすかを考え、改善サイクルを回し続けることが大切です。