高額になりがちなエステ機器は、減価償却で経費計上するため、耐用年数を把握しておく必要があります。これは、正しい経理処理に欠かせない知識で、サロン運営において重要なポイントになります。
このコラムでは、エステ機器の耐用年数と、混同しがちな耐久年数との違い、エステ機器の減価償却について解説しています。マシンの買い替えにあたって意識したい点もまとめているので、ぜひ最後までご覧ください。
もくじ
エステ機器の耐用年数とは
エステ機器の耐用年数とは、税法で定められた減価償却期間のことを指します。美容機器の耐用年数は5年とされているため、購入から5年にわたって減価償却を行います。
これは会計処理上の基準であり、実際の使用可能期間を示すものではありません。そのため、たとえ耐用年数が過ぎたとしても、適切に使えていれば機器の使用は継続できます。
6年目からは経費計上が不要になりますが、必ずしも買い替えの目安というわけではありません。
「耐久年数」とは違う点に注意
耐用年数と混同しがちな言葉に、「耐久年数」があります。
耐用年数が、税法上の減価償却期間を指しているのに対し、耐久年数は、サロンが設備投資を行う際の目安になります。耐久年数は、機器そのものの性能を維持できる期間を指し、設定期間はメーカーによって異なります。
この耐久年数は、カタログなどに記載されていますが、耐用年数と間違えて減価償却期間に設定しないよう気をつけなければなりません。
また、使い方によってマシンの寿命は長くも短くもなるため、確約された期間ではないことを念頭においておきましょう。定期的にメンテナンスをして、適切に使っていれば目安より長く使えることもあります。
サロン経営に欠かせない機器の耐用年数
エステサロンには、エステ機器以外にも、ベッドやパソコン、家電など、減価償却の対象になるものがあります。主な設備や備品の耐用年数は下表のとおりです。
施術用ベッド | 8年 |
パソコンやタブレット端末 | 4年 |
レジ | 5年 |
冷蔵庫 | 6年 |
消毒殺菌用機器 | 4年 |
冷暖房用機器 | 6年 |
これらは、およそ使用できる年数をもとに設定されていますが、前述のとおり実際の使用期間とは異なる点に注意が必要です。また、新築で店舗を構える場合は、建物も減価償却の対象になります。
なお、購入代金によっては次の制度が利用できることもあります。
- 少額減価償却資産:10~30万円までの資産は購入した年に一括で経費計上が可能
- 一括償却資産:20万円未満の資産は3年にわたる均等償却が可能
これらの特例の活用は、経理処理の手間や税負担の軽減に有効です。
エステ機器の減価償却
減価償却は、サロンで使用する高価な機器を購入した際は、その費用を一度に経費として計上するのではなく、耐用年数に応じて計上します。決められた耐用年数にわたって分割し、毎年の経費として計上する会計処理です。
これにより、収益と費用を正確に反映させられ、経営の状況をしっかり把握することができます。
減価償却費計算に必要な要素
減価償却費を計算するためには、以下3つの要素が必要です。
- 取得価額(原価):機器の価格に、不随費用(運送費・設置費・手数料・保険料など)含めた総額
- 法定耐用年数:税法で定められた資産価値の期限(美容機器は5年)
- 減価償却方法:主に「定額法」と「定率法」の2種類
定額法と定率法は、通期ごとの減価償却費は変わりますが、最終的な経費計上額は同じです。
減価償却費の計算方法
定額法、定率法、それぞれによる減価償却費の計算を確認しておきましょう。
定額法は、毎年同じ金額を減価償却費として計上する方法で、「取得価額 ÷ 法定耐用年数」で算出されます。
たとえば、取得価額が200万円のエステマシンの場合は、2,000,000円 ÷ 5 = 400,000で、毎年40万円を5年間計上するということです。
定率法は、毎年未償却残高に一定の償却率をかけて減価償却費を計上する方法で、初年度は高くなるものの、年々減少していきます。計算式は「未償却残高
× 償却率」ですが、償却保証額に満たなくなった場合は、「改定取得価額×改定償却率」に変更されます。
減価償却の注意点
中古のエステ機器を購入した場合は、法定耐用年数ではなく、使用可能期間を見積もって耐用年数を設定します。 通常は5年より短くなるため、注意してください。
また、減価償却費の計上は、購入日ではなく、事業での使用を開始した日から始まることも重要なポイントです。このほか、部品の交換やメンテナンス・修理費などは、減価償却の対象になりません。
経営状況に応じて少額減価償却資産の特例を利用するなど、ルールを遵守したうえで、適切な会計処理を行えば、税務上のトラブルを防ぐことができます。
耐用年数を超えた機器の取り扱い
ここでは、耐用年数が終わった際の対応と、機器の買い替えタイミングについて解説します。
使用する場合は帳簿に記載
法定耐用年数の5年を超えたエステ機器の使用を続ける場合、帳簿上の取り扱いが変わります。耐用年数を経過すると、減価償却費としての経費計上は終了しますが、マシンは引き続き資産としての管理が必要です。
この際、帳簿上では「備忘価格」として1円を計上し、資産の存在を記録し続けるのが一般的です。これは、資産の存在を帳簿上で明確にするための措置で、機器を廃棄・売却するまで、固定資産台帳などで適切に管理することが求められます。
買い替えのタイミング
エステ機器の買い替え時期は、耐用年数や耐久年数だけでなく、機器の性能低下、修理頻度、最新技術の導入状況などを総合的に考慮して判断しましょう。
使用年数が長くなると性能の低下や故障リスクが高まるため、耐用年数や耐久年数を超えている場合は、使えるとしても買い替えを検討するとよいでしょう。
また、顧客満足度、競争力の向上などを狙う場合は、新技術の登場や提供したいサービスが見つかったタイミングでの買い替えが有効です。
買い替えで選ぶべきエステ機器の特徴
買い替えにあたって、選ぶべきエステ機器の特徴をお伝えします。
品質とコストパフォーマンスが高い
品質の高い機器は、顧客満足度の向上につながります。最新技術を兼ね備えているほか、スタッフごとのスキル差が出ない機器を選ぶとよいでしょう。
また、安価な機器は初期投資こそ抑えられますが、耐久性や機能が劣っていれば、修理コストの増加、お客様への賠償などのリスクが高まります。本体価格だけでなく、長期間の使用を想定して、さまざまな角度からコストパフォーマンスを評価することが重要です。
メンテナンスが容易
エステ機器は、適切なメンテナンスによって、長く使用することが可能になります。メーカーのメンテナンスサービスも有効ですが、日々のお手入れは衛生の観点からもより重要です。
マシンの清掃手順が簡単でないと、スタッフの負担が増え、衛生管理の質が低下するリスクがあります。頻繁に使用するパーツなどは、取り外しやすさ、クリーニングのしやすさなどを確認しておきましょう。
メーカーのサポート体制が充実している
業務用エステ機器は高額な投資なので、メーカーのサポート体制が充実しているかどうかはとても重要です。機器のトラブルが発生した際、修理や代替機の貸し出し対応が迅速に行われるかを事前に確認しておきましょう。
とくに、サポート窓口やカスタマーサイト、メンテナンスサービスなどを提供しているメーカーを選ぶと安心です。さらに、最新の施術技術や機器のアップデート情報を提供してくれるメーカーであれば、競争力のあるサロン運営が可能になります。
エステ機器の買い替えはタイミングが重要
エステ機器には、減価償却のための耐用年数と、使用期間の目安になる耐久年数があります。それぞれに目的が違い、間違えると経理処理に影響を与えるため、注意が必要です。
また、これらは機器の買い替えを検討するきっかけにもなりますが、年数にこだわらず必要に応じて買い替えを検討するのがおすすめです。
マシンの買い替えにあたっては、コストパフォーマンスや使いやすさなど総合的に判断し、信頼できるメーカーから入手しましょう。