近年、さまざまな業界で無断キャンセルが問題になっています。美容サロンも例外ではなく、放置していれば経営に悪影響を及ぼしかねません。
この記事では、美容サロンで無断キャンセルが起きやすい理由と、その対策について解説しています。また、最後に注意点もまとめているので、無断キャンセル対策がトラブルに発展しないよう、あわせて確認しておきましょう。
美容サロンで無断キャンセルが起きやすい理由
美容サロンは、無断キャンセルが起きやすい業種のひとつです。理由は主に、お客様が予約したことを忘れる、無断キャンセルに対してペナルティがないといったことが挙げられます。
また、キャンセルしにくい仕組みも、無断キャンセルにつながる要因になるでしょう。
予約したことを忘れてしまう
近年、インターネット経由での予約が一般的になり、簡単に予約が取れるようになっています。そのため「とりあえず予約」がしやすく、予約したことを忘れてしまうケースも珍しくありません。
また、予約から来店日までに時間があると、必要性や興味が薄れてしまうこともあるでしょう。とくに人気のあるサロンでは、予約できるのが数週間先になる場合もあり、その間に興味が別のサロンに移る可能性も考えられます。
このように、予約を忘れているケースでは、当日、サロンからの連絡で思い出すなど、結果として無断キャンセルになりがちです。
無断キャンセルに対してペナルティがない
予約の段階で、ペナルティの明示がない場合は、キャンセルのハードルが低くなりがちです。
予約に対する責任が発生しないため、「連絡しなくても問題はないだろう」と考え、結果として無断キャンセルをしてしまいます。
とくに、お試しや初回来店など、料金が安く設定されているケースでは、無断キャンセルが目立ちます。
予約のキャンセルがしにくい
予約はインターネットで容易にできるものの、変更やキャンセルは電話で連絡しなければならないというサロンは少なくありません。これは、お客様からすると不親切と言わざるを得ないでしょう。
電話でのキャンセル対応は、次の予約につなげるためには有効かもしれませんが、連絡する行為のハードルを上げてしまいます。
その結果、プレッシャーに感じたお客様が連絡できず、無断キャンセルに至ってしまうケースがあります。
サロンに有効な無断キャンセル対策5選
無断キャンセルを防ぐためには、サロン側で適切な対策を講じる必要があります。5つの対策方法を紹介するので、現在の状況に照らし合わせ、適した方法を取り入れてください。
キャンセルポリシーの明示
キャンセルした際のペナルティについて設定し、次のようにまとめてお客様に明示しましょう。
- キャンセル方法
- キャンセル料
- キャンセル期間
- 何度も無断キャンセルした場合の規定
- キャンセル料が発生しないケース(免責事項)
とくに、何度も無断キャンセルをした場合には出禁の可能性があることや、損害賠償請求もあり得る旨をしっかり言及しておきましょう。
また、自然災害などで来店できない場合はペナルティの対象にならないなど、免責事項の記載も忘れてはいけません。
お客様とのキャンセルトラブルを防止するためには、キャンセルポリシーの策定が重要です。
事前決済システムの導入
事前に料金をもらっておくことで、無断キャンセルを防げます。事前決済システムは、予約システムと連携しているケースが多く、予約の段階で料金を確保できます。
仮にキャンセルになった場合も、タイミングに応じたキャンセル料をいただき、残りを返金することが可能です。
一方で、現金しか取り扱っていない場合には、うまくキャンセル料が確保できない可能性があります。そうなれば無断キャンセルの防止は難しいため、これを機に決済手段を増やすことも検討してみましょう。
変更やキャンセルの手順を簡単にする
予約の変更やキャンセルの手順が面倒だと、お客様が負担に感じ、無断キャンセルにつながりかねません。
現在のキャンセル方法が「電話のみ」という場合は、次のような方法を検討するとよいでしょう。
- LINE公式アカウント
- HPの問い合わせフォーム
- SNSのDM
これらを活用することで、お客様がキャンセル連絡するハードルを低くすることが可能です。
また、予約システムと組み合わせて利用すれば、返信や調整の労力が抑えられるため、サロン側にとってもメリットがあります。
予約確認とリマインド配信
そもそも、お客様が予約を忘れないようにすれば、無断キャンセルも減るでしょう。
初回来店のお客様には、電話で予約確認の電話を入れるのがおすすめです。施術や料金について丁寧に説明することで、お客様の不安を軽減することが可能です。
ただし、この電話で不信感を与えてしまえば意味がなくなってしまうため、応対には十分に注意してください。
このほか、電話できないお客様にはリマインドメールを送りましょう。予約時だけでなく、前日にも送ると、より効果的です。
料金回収サービスを利用
サロン向けの、キャンセル料回収サービスを利用するのも一案です。予約システムのサービスのひとつとして提供されているケースが多いほか、専門の会社もあります。
多くの場合、弁護士や司法書士と連携しているため、キャンセルポリシーの作成も請け負っているケースが多いのが特徴です、
何度も無断キャンセルをされるなど、悪質な被害に遭っている場合は、ぜひ検討してみるとよいでしょう。
【美容サロン】キャンセル料設定のポイント
キャンセル料は、サロンが自由に設定することが可能ですが、法外な料金設定はNGです。
美容サロンは、飲食店や宿泊施設のような事前準備の必要がないため、キャンセル料を設定しにくい業種です。そのため、同じ業種のキャンセルポリシーを参考にするとよいでしょう。
一般的な美容サロンでは、多くの場合、以下のようにキャンセル料が設定されています。
- 前日キャンセル:施術料の20~30%
- 当日キャンセル:施術料の50%
- 無断キャンセル:施術料の50%~100%
これらは、ほかのポリシーとともに、必ず予約の段階で伝えてください。予約画面に表示するほか、電話予約であれば口頭で説明する必要があります。
無断キャンセル対応の注意点
無断キャンセルに対応する際は、トラブル防止の観点と、損害賠償請求に発展した場合に備えて、次の2点に注意する必要があります。
- 丁寧に対応する
- 予約情報を記録しておく
それぞれ詳しく見ていきましょう。
丁寧に対応する
無断キャンセルのあとに、お客様から再予約の連絡が入ることがあります。このとき、お客様が悪びれる様子もなければ、イラっとしてしまうこともあるでしょう。
しかし、どれだけ不快に感じたとしても、お客様には丁寧に対応することが大切です。今の時代、SNSにさらされて炎上したり、口コミに悪評を投稿されたりするケースは珍しくありません。
再予約を受けるにせよお断りするにせよ、丁寧にキャンセルポリシーを説明し、余計なトラブルに発展しないよう注意しましょう。
予約情報を記録しておく
何度もキャンセルを繰り返すお客様は、残念ながら出禁も検討する必要があるでしょう。このとき、予約とキャンセルの記録がなければ、出禁の根拠を示すことができません。
損害賠償を請求するケースに発展したとしても、証拠がなければ勝つことは困難なため、必ず予約情報は保存しておいてください。
また、キャンセルポリシーに対して、「知らない」と言い逃れができないよう、次のような工夫をすることも大切です。
- 予約画面でポリシーの承諾にチェックを入れないと予約完了できない
- 書面で承諾のサインをもらう
- 予約確認、リマインドメールにもポリシーを記載する
【サロン経営】無断キャンセル対策でトラブルを防ぐ
「予約したことを忘れた」「キャンセルの手続きが面倒」など、さまざまな理由が無断キャンセルにつながります。
無断キャンセルが多ければサロン経営に悪影響があるため、キャンセルポリシーを策定したり、リマインド機能を活用したりして対策しましょう。また、悪質な無断キャンセルに対しては毅然とした態度を示す必要がありますが、トラブルに発展しないよう丁寧に対応することが大切です。