アスリートやトレーナーとしての経験がある方の中には、自らスポーツジムを開業したいという想いを持っている方も少なくないでしょう。自身の経験を活かせることはもちろん、多くの人の運動や健康に貢献できることはやりがいも感じられます。
しかし、現在はいたるところにスポーツジムが点在し、競合を押しのけて生き残っていくことは容易ではありません。初めて事業を起こすという場合は尚更でしょう。
そこで今回のコラムではスポーツジムを開業・運営していく上で押さえておくべき基本的なノウハウをお伝えしていきます。近い将来、自身のスポーツジムを持ちたいとお考えの方は参考にしてみてください。
もくじ
スポーツジムを開業する方法
まずはスポーツジムを開業する方法について大まかにお伝えしていきます。スポーツジムにも様々なスタイルがありますが、大きく分けて以下の2つのパターンがあります。
- フランチャイズ(FC)に加盟する
- 個人で開業する
フランチャイズ(FC)に加盟する
スポーツジムの中には全国に何店舗も展開している大手チェーンがありますが、その全てが直営店というわけではありません。名前を借りているだけでオーナーは外部という、いわゆるフランチャイズ(FC)の形態も多く存在します。
加盟料やロイヤリティを支払う必要はあるものの、おおもとのジムの知名度や経営ノウハウを存分に活用できるため、廃業リスクは大きく下がります。初めて起業する方にもおすすめです。
個人で開業する
フランチャイズに加盟しない場合、基本的には完全に個人で開業することになります。フランチャイズの加盟費用を支払わなくて済む分、利益率は高くなりますが、売上を安定させるまでには少なからず期間がかかることでしょう。
物件や備品といった開業準備に多大な手間暇がかかってしまうことはもちろん、多くのオーナーが悩まされるのが集客です。フランチャイズとは違い、完全に知名度がゼロの状態でスタートし、成功するには緻密な事業計画が求められます。
スポーツジムの開業費用一覧
スポーツジムを開業する場合、多くの場合は以下の費用が発生するでしょう。
- 物件取得費用
- 備品購入費用
- 工事費用
- スタッフ採用費用
- 広告費用
それぞれいくらかかるかはどのようなスポーツジムを開業するかで全く異なりますが、いずれも高額になるのは間違いありません。
広告費用に関して、必ずしもかける広告を出稿する必要はありませんが、広告を出稿するのとしないのとでは開業時の集客具合が全く異なります。物件の立地や競合との兼ね合いによって最適な手法は異なるので、慎重に検討してください。
スポーツジム開業の費用相場はいくら?
スポーツジムを開業する際にかかる費用相場を解説いたします。
- パーソナルジム
- 総合型ジム
上記の2つに分けてお伝えするので、大まかにどれほどの費用がかかるのかを把握しておきましょう。
パーソナルジムの開業費用
まずは小規模なパーソナルジムの場合です。
近年はオーナーが1人で運営する完全なパーソナルジムも増えてきていますが、そのような形態であれば事業用マンションなどでも開業することは可能です。開業費用の中でも大部分を占める物件取得費用を大きく抑えることができるでしょう。
具体的な費用は500万円以下であることが多いです。決して安い金額ではありませんが、融資や補助金・助成金などの活用も考えれば、開業しやすい規模だといえるでしょう。
総合型ジムの開業費用
広々としたトレーニングスペースや充実した設備が揃った総合型ジムの場合、パーソナルジムとは反対に、開業費用も格段に高くなります。どのような設備にするかで費用も全く異なりますが、3,000万円〜1億円の間であるケースが多いです。
開業のハードルも相応に高くなりますが、将来的な事業展開の幅が広く、成功すれば多額の利益が見込めるでしょう。
月額費用は低価格化が進んでいる
スポーツジムの売上を大きく左右するのが月額費用です。当然のことながら、月額費用が5,000円の場合と1万円の場合とでは顧客単価は大きく異なりますよね。
ただし、顧客単価が高いと会員数が伸び悩むリスクも増えます。
特にここ数年で世のスポーツジムの月額費用相場は急激に低価格化が進んでおり、いまや月額3,000円程度の格安ジムも珍しくありません。
- 月額費用
- 設備の充実さ
- 推測される会員数
上記はあくまで一部ですが、実際はあらゆる要素を踏まえて月額料金を決定する必要があります。
スポーツジムの開業は物件調査が重要
上記のように、スポーツジムを開業する際は月額料金や設備についても慎重に検討する必要がありますが、それらに並んで重要なのが物件です。候補となる場所が見つかったら以下のように念入りに物件調査を実施し、より成功の確率が高い場所を選びましょう。
- 立地・交通手段
- 商圏人口・交通量
- 現在の競合数・将来的な競合参入リスク
- 外観・築年数
立地・交通手段
まずはその物件の立地と考えられる交通手段を調査しましょう。当然のことながら、交通手段が豊富であったり、駅やバス停が近いほど会員は集まりやすくなります。
しかし、そのような立地は家賃も高くなりますよね。
そのため、立地条件と家賃のバランスを見極める必要がありますが、まずは自身が思い描いているスポーツジムの規模から必要な会員数を計算しましょう。そこからその会員数が集まりそうな立地を探すのが1つのオーソドックスな手法です。
商圏人口・交通量
同じような理由で、商圏人口と交通量の見極めも必要です。
- 徒歩:1km
- 自転車:5km
- 車:30km
各交通手段に対する商圏は一般的に上記の範囲だといわれています。その範囲でどれだけの人が往来するかをチェックしましょう。
交通量を調べる方法はいくつかありますが、例えば国土交通省が公開している調査結果では道路ごとの数字を非常に細かく知ることができます。
現在の競合数・将来的な競合参入リスク
商圏における競合のスポーツジムの数もチェックしておきましょう。その際のポイントは、漠然とスポーツジムの数をカウントするだけでなく、カテゴリーごとの競合数を調べることです。
ご存知の通り、スポーツジムも店舗によってそれぞれ特色があり、ターゲット層も異なります。自身が構想しているスポーツジムが属するカテゴリーは念入りにチェックするようにしましょう。
理想的なのは、現在だけでなく将来的に競合が参入してくるリスクまで考慮して物件を選ぶことです。
外観・築年数
どれだけ立地が良くても、気付いてもらえないことには意味がありません。インターネットやSNSでスポーツジムを検索することが多くなった現代においても、リアルでの存在感は非常に大切です。
そのため、人目に付く外観をしているか、築年数が古すぎて敬遠されないか、ということに関しても欠かさずにチェックしておきましょう。実際に建物を見た時、通いたいと思ってもらえるかどうかも、集客においては重要なポイントです。
スポーツジム開業を成功させるには念入りな調査が重要
ここまでスポーツジムを開業する時のノウハウや注意点などをお伝えしてきました。実際はもっと細かいことに気を付ける必要がありますが、結論としてお伝えしたいのは念入りに調査し、十分な事業計画を立てることが重要ということです。
ただでさえ競合が激しいスポーツジム業界において、新たに参入していくのは決して容易なことではありませんが、もし成功すれば大きな利益につながります。その可能性を少しでも高くするためにも、抜かりなく調査し、最適な条件で開業しましょう。