一般的に脱毛サロンを開業するには、数百万円という多額のコストが必要になります。マシンの購入費用や物件の改装費用のほか、細かい備品を挙げればキリがありません。
そこで、これから脱毛サロンを開業しようとしている方にぜひ知っておいていただきたいのが、脱毛サロンの開業でも活用できる補助金がたくさんあるということです。どのような補助金制度があるのかも含めて、わかりやすく解説いたします。
もくじ
脱毛サロンでも補助金の利用が可能
経営に携わる方であれば、補助金について耳にすることも多いでしょう。特にここ数年は新型コロナウイルスの影響もあり、補助金を活用した、あるいは活用を検討している経営者が一気に増加しました。
業界や業種に応じて、各地域で様々な補助金制度が設けられていますが、脱毛サロンでも補助金を活用できます。開業費用の負担を少しでも減らすため、積極的に活用していきましょう。
補助金と助成金の違い
実際に補助金について触れていく前に、まずは助成金との違いを理解しておきましょう。
双方の主な違いは給付元の機関です。補助金が経済産業省や各地方自治体が管轄していることに対し、助成金は厚生労働省が管轄しています。
それに伴う影響としては、採択されるハードルの違いが挙げられます。助成金はもともと雇用保険料が財源になっているということもあり、条件を満たし、期限内に申請しさえすれば、基本的には確実に給付金を受け取ることができます。
一方、補助金は各制度ごとに予算や採択枠に制限があります。問題なく申請できたとしても採択されるとは限らず、制度によって競争率も異なるという特徴があります。
脱毛サロンで活用できる補助金制度
脱毛サロンの開業におすすめの補助金制度を紹介します。ただし、時期や地域によって募集されていない可能性があるということをご了承ください。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、文字通り小規模事業者を対象とした補助金で、脱毛サロンであれば以下のような経費が対象となります。
- 業務用脱毛機の購入費用
- 店舗の改装費用
- 広告宣伝費
補助金額は通常枠が50万円で、補助率は2/3。つまり、最大約33万円の補助金を受け取ることができるということになりますが、他にも別条件が付いた特別枠もあります。
事業再構築補助金
事業再構築補助金はもともと営んでいる事業や業態内容を拡大・変更する企業を支援するための制度です。
補助率は一律で2/3ですが、補助金額は従業員数によって異なります。以下は中小企業の通常枠なので、参考にしてみてください。
- 20人以下:100万~2,000万円
- 21~50人:100万~4,000万円
- 51人以上:100万~6,000万円
こちらも対象となる経費が幅広いため、様々な用途で活用できます。ただし、既に何らかの事業を営んでいる企業が対象であるため、完全に新規で開業する場合は活用できないという点に注意しましょう。
ものづくり補助金
ものづくり補助金も中小企業を対象にした制度で、事業の生産性の向上や、新たな商品・サービスの開発の支援を目的にしています。一般型の場合、補助金額は最大1,000万円で、補助率は小規模事業者が2/3、その他が1/2となっています。
脱毛サロンの場合、対象となる経費は業務用脱毛機の購入費用程度ですが、費用相場は数百万円と高額。その2/3、もしくは1/3を負担してもらえるだけでも、非常に大きな支援になると言えるでしょう。
補助金を活用する際の注意点
実際に補助金を活用する際には、いくつかの注意点があります。細かい条件は制度によって異なるものの、以下のポイントはある程度共通するので、よく理解しておきましょう。
- 必ずしも採択されるわけではない
- 補助金制度は定期的に変更される
- 制度によって対象となる経費が異なる
- すぐに補助金がもらえるわけではない
- 最初に申請を済ませる
必ずしも採択されるわけではない
先ほども解説した通り、基本的に補助金はあらかじめ採択枠が制限される場合が多く、申請しても採択されない可能性があります。そのため、補助金を受け取ることを前提として開業計画を立てるのは控えましょう。補助金額が大きかったり、対象範囲が広い補助金制度は特に応募が集まりやすく、採択される確率も低くなってしまいます。
補助金制度は定期的に変更される
補助金は年中募集されているわけではありません。制度ごとに申請時期は決まっており、毎年同じ補助金制度が実施されるとも限りません。常に最新情報をキャッチし、適切な補助金制度を選ぶことが大切です。
制度によって対象となる経費が異なる
各補助金の公募要領を見てみると、対象となる経費の分類まで、事細かく取り決められていることがわかります。どのような経費が対象になるかは一律ではないため、複数の補助金を検討する際は十分注意しましょう。申請後、対象外である経費が含まれており、給付金を受け取ることができなかったというケースも稀に発生します。
すぐに補助金をもらえるわけではない
勘違いしてしまう方も多いですが、無事補助金の審査を通り、採択されたとしても、すぐに補助金をもらえるわけではありません。多くの場合、実際にお金が振り込まれるのは、採択されてから数カ月先になってしまうため、あくまで最初の開業費用は自身で用意する必要があります。
最初に申請を済ませる
もう一点注意すべきことは、お金を使う前に、まずは申請を済ませなければいけないということです。申請の前に備品を購入してしまうと、その費用を補助金の対象に充てることができません。
知らずに購入してしまわないように、よく注意しましょう。また、補助金の全体像をより深く理解してもらうためにも、基本的な流れを解説します。
補助金申請の流れ
補助金によって例外はありますが、基本的には以下の流れで活用することになります。
- 申請書の提出
- 採択の通達
- 事業の開始
- 報告書の提出
- 補助金額の確定
- 補助金の受け取り
申請書の提出
まずは補助金の申請書を提出します。事業計画や推定売上高のほか、各補助金の趣旨に合わせた項目を記載するのが一般的です。具体的・合理的に記載し、補助金を受け取る整合性を示すことで、採択される可能性が高くなります。
また、この時点で補助金の使用用途を決めておかなければいけません。何を購入するか、いくらかかるか、そしてそのうちいくらを補助金に充てるかまで、正確な金額を取り決める必要があります。
採択の通達
採択が決定します。審査に要する期間はそれぞれ異なりますが、いずれも通知書の郵送によって結果が通達されるのが一般的です。
事業の開始
いよいよ事業を開始します。注意すべき点は、補助金によって開始日が決まっており、備品を購入したりするのは、その日付以降ということです。それ以前に使用してしまった経費は、基本的に補助金の対象にはなりません。
報告書の提出
予定していた経費を使用し、計画が完了したら、無事遂行できたことを示すため、一連の報告書を提出します。計画が長期に渡る場合は、中間検査が入る可能性があることを留意しておきましょう。
補助金額の確定
計画の変更や価格変動により、申請時点で予定していた金額と、実際に使った金額が異なる場合があります。それによって補助金額がどう変わるかは補助金によりますが、まずはかかった費用を報告書と一緒に提出します。それにより、最終的に給付される金額が確定します。
補助金の受け取り
補助金額が確定された後は、受給者が請求書を提出することになります。無事受理されれば、いよいよ補助金が振り込まれ、全ての流れが完了したことになります。
補助金の募集時期はいつ?
募集時期も各補助金によって異なります。その時々で何の補助金が実施されているかは全く異なるので、頻繁にチェックし、条件に合う補助金の活用機会を逃さないようにしましょう。
ちなみに、例年は3月〜5月頃に応募を受け付けている補助金が多いですが、近年は新型コロナウイルスの影響もあり、募集時期が拡充されています。一旦募集が終了しても、次の募集が再び開始されるケースも多いです。
補助金の調べ方
補助金について、正確な最新情報について調べるには、各専門機関に問い合わせることがもっともおすすめです。
- 市役所
- 商工会議所
- よろず支援拠点
- 中小企業基盤整備機構
- 日本政策金融公庫
- J-NET21
これらはいずれも補助金について詳細な情報を把握している機関なので、疑問がある時や、アドバイスが必要な時は問い合わせてみましょう。
補助金を活用して無理なく開業!
冒頭でも触れた通り、脱毛サロンの開業には多額のコストが必要になります。それを理由に独立を断念してしまう方も多いですが、補助金を活用すれば、無理な借金などもせず、余裕を持って開業できる可能性があります。
各地域によって実施されている補助金は異なるので、まずは自身が所属する地方自治体を確認してみましょう。ただ、どの補助金も公募要領や各手続きが複雑で、申請するだけでもある程度の時間を要します。報酬を支払い、専門家に代行してもらうという手段もありますが、まずは情報収集からスタートし、確実に申請しましょう。