エステサロンの売上を左右するセラピストのクロージング力。施術技術や美容に関する知識はもちろん大切ですが、コースや商品の提案には営業トークや接客術が欠かせません。
しかし、この営業トークが苦手と感じているエステティシャンの方が多いのも事実です。オーナー様や経営者様の中にも、スタッフにどう教育すべきなのか迷っている方もいるでしょう。
営業で結果を出すためには、生まれ持ったコミュニケーション能力が必要だと考える方も多くいらっしゃいますが、実際はそれだけではなく、営業トークのコツを抑えることが非常に重要になります。
今回のコラムでは営業トークのポイントや事前準備などを解説していきます。セラピストとしてキャリアアップを図りたい方や売上の向上を目指すオーナー様など、ぜひ参考にしてください。
エステティシャンの営業トークのポイント
お客様とのコミュニケーションは、サロンでの満足度に大きく関わります。世間話ばかりしていても契約には繋がりませんし、逆にコースの説明ばかりしてもお客様は「押し売りされた」と感じてしまうことでしょう。
エステサロンの接客では、自然な形でコースを紹介しお客様に「通いたい」と思っていただけることが重要です。
以下のポイントを押さえましょう。
- アイスブレイクでお客様の緊張をほぐす
- 悩みを引き出し共感する
- お客様の立場になって考える
- 沈黙を恐れない
- 不安な部分を解決できる提案を行う
アイスブレイクでお客様の緊張をほぐす
多くのお客様はエステサロンに初めて来店する際「勧誘を受けたらどうしよう」「高額な請求をされたらどうしよう」など、何らかの不安を持っています。
まずはこの不安や緊張を解くのが重要。少しでも警戒心を解いてもらえないとお客様の悩みは引き出せませんし、契約に至るのは到底無理でしょう。
来店後はアイスブレイクと言われる会話の中から、カウンセリングシートには書ききれないお客様のニーズや環境、美容への価値観などを探りましょう。
接客の基本でもある笑顔やお客様を名前で呼ぶなども、親近感を抱いていただくために有効です。
悩みを引き出し共感する
エステサロンに来店するお客様は、何らかの悩みがあり来店する方がほとんどです。まずはこの悩みを正しく引き出さないと、お客様に響く提案はできません。
そしてカウンセリングでお客様が悩みをお話してくれた時は、必ず共感するのもポイント。自分自身の経験談を交えながら、お話しすることでお客様もより信頼してくれます。
お客様の立場になって考える
どれだけ人気のメニューであったりおすすめの化粧品であったりしても、目の前のお客様にとってメリットのあるメニューや商品とは限りません。
できるだけ悩みを引き出しそれを解決するための手段を提案しなくてはいけませんが、そのためにはたくさんの情報が必要です。
例えば、美容のためには規則正しい生活が基本です。しかし医療従事者などのお仕事で夜勤がある方に「夜寝てください」「規則正しい生活を送ってください」というアドバイスをしたらお客様はどう感じるでしょうか。
このエステサロンは寄り添ってくれない、話しても無駄と思われてしまったら、契約に結びつくはずがありません。
つまりお客様の立場になって考えるというのは、美容に関する悩みだけではなく、相手の環境や予算、ライフスタイルまでを考慮して提案を行うことを指します。
沈黙を恐れない
営業スキルが高い人=お喋りな人ではありません。
お客様を目の前にしていると沈黙を恐れて一方的なトークを繰り広げてしまいがちですが、営業の基本はお客様の声に耳を傾けることです。
エステサロンではお客様のセンシティブな悩みを取り扱います。初対面のエステティシャンに悩みを打ち明けるのは勇気がいることですし、言葉に詰まってしまうこともあるでしょう。
決して安価なメニューばかりではありませんから契約時にはじっくり考えたいかもしれません。
このように沈黙には理由があり、お客様がいろんな思いを整理している時間でもあります。焦って話し続けることは避けましょう。
不安な部分を解決できる提案を行う
お客様がエステサロンに通う上で不安に思う要素はいくつもあります。
- 予算が合わない
- 通う時間が無い
- 効果が出ないかもしれない
- 飽き性でそもそも続かないかもしれない
など、悩みに合わせて解消できる方法と合わせてメニューの提案を行ってください。
例えば仕事が忙しく通えないかもしれないという相談であれば、「予約が第5希望まで取れる」「コースの有効期限が長い」「都度払いもできる」など、サロンに通う想像がつきやすいサポート内容を提示できると良いでしょう。
エステサロンでのNG営業トーク
前述した通り、サロンでの接客は顧客満足度を下げる原因にもなり得ます。絶対に避けてほしい営業トークの手法についてもお話していきましょう。
- しつこい勧誘をしない
- ネガティブな言葉を使わない
- 否定ばかりしない
しつこい勧誘をしない
エステ=高額商品の勧誘をされるというイメージを持っているお客様も少なくありません。
一方的に商品やコースの話ばかりをしてしまうと、そんなつもりが無くても「勧誘された」「高いメニューばかりをすすめてくる」と思われてしまうことも。リピート率が下がるだけではなく、こうした口コミが広まってしまうと今後の新規集客でもマイナスに働きます。
多くのお客様が、来店の際には契約や勧誘に対して、敏感になっていると考えてください。あくまで主導権はお客様にあり、お客様の興味を引き出す営業トークを心掛けましょう。
ネガティブな言葉を使わない
お客様の質問に対して「無理です」「できません」などとネガティブな言葉ばかりを使ってしまうと、「要望を聞いてくれない」「通いにくい」という印象を与えかねません。
できる限り、ポジティブな言葉に変換したり、代案で対応したりなどネガティブな言葉遣いは避けましょう。
否定ばかりしない
自店の魅力を話すとき、他店を批判するのは禁物です。競合店舗を批判し、自店の価値を上げるという行為は良い印象を抱きません。
ほかにも、カウンセリングで引き出したお客様自身のことに関しても否定するのは避けてください。スキンケアの方法が間違っていても、ストレートな否定をしてしまうと、次から正直に話しにくいと感じてしまいます。
自分の失敗談などを交えながら伝えるなど、お客様の気持ちに寄り添った伝え方を考えていきましょう。
エステサロンの営業トークは事前準備が重要
気を付けていきたいポイントをご紹介してきましたが、成約に繋げるために一番重要なのは事前準備です。
来店する前にどれだけ実際の接客をイメージして準備ができるかが、営業トークの命運を握っています。来店する前に準備しておきたいポイントをお伝えします。
- カウンセリングを意識した問診表を作成する
- 写真や図解付きの資料を準備する
- トークスクリプト(台本)を用意する
カウンセリングを意識した問診表を作成する
エステサロンで必須になる問診表(カウンセリングシート)。個人情報やアレルギー、既往歴だけではなく、お客様の情報をなるべく集められるようなシートを作りましょう。
カウンセリングがどんな手順で進んでいくのか、どうしたら悩みを打ち明けやすくなるのか考えながらオリジナルの問診表を作ってください。
参考記事:脱毛サロンの問診表・カウンセリングシートで必要な内容は?効果を引き上げる確認項目とは
https://www.clear-sp.com/salon-open/blog/form/
写真や図解付きの資料を準備する
どれだけおすすめの施術であっても口頭で効果を伝えるのは難しいでしょう。
ビフォーアフターの写真や動画などがあると、施術後の自分の姿もイメージしやすくなり、説得力が増します。お客様が実際通うことでどんなベネフィットを得られそうか想像させることがクロージングでは重要です。
また、施術自体の説明には図解などを利用すると便利です。脱毛施術であれば、脱毛機器の仕組みについて話しておくと、自宅でのケアの重要性もより伝わりやすくなるでしょう。
トークスクリプト(台本)を用意する
経験が浅く営業トークに自信が無い、スタッフ間の成約率の差を無くしたいなどの悩みがある場合、おすすめなのがトークスクリプト(台本)の作成です。トークスクリプトとはお客様とのやりとりをマニュアル化したもの。
実際の接客ではマニュアル通りにいかないことがほとんどではありますが、ある程度流れをつかむことでスムーズに話を進めることができます。
成約率の高いメンバーの技術をこうしたマニュアルに落とし込むことで、営業トークの精度を店舗全体で高めることができたり、経験年数に頼ることなく育成に励んだりすることが可能です。
エステティシャンの営業力が経営のカギを握る
エステサロンでの営業トークのポイントについてお話してきました。エステティシャンは技術力だけではなく営業職としてのスキルも重要です。
下記の5つのポイントを意識しながら営業トークを磨いていきましょう。
- アイスブレイクでお客様の緊張をほぐす
- 悩みを引き出し共感する
- お客様の立場になって考える
- 沈黙を恐れない
- 不安な部分を解決できる提案を行う
営業トークに苦手意識があるエステティシャンの方も多いですが、目的は契約や販売では無くお客様の悩みを解決する方法を正しく提示することです。
自店の強みを用いてどんなことが提案できるのか、お客様の気持ちに寄り添いながら接客していきましょう。
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