- 思うように売上が伸びない
- 人材育成が上手くいかない
このように、サロン経営者は常に何らかの悩みを抱えています。どれだけ順調でも、完全に不安がなくなることはないかもしれませんが、一つひとつの問題を着実に克服していくことが事業の成長に繋がります。
そこで今回のコラムでは、多くのサロン経営者が抱える悩みと、その改善策を解説していきます。ご自身にも当てはまるものがないか、確認しながらご覧ください。
サロン経営者は常に悩みを抱えている
複数の店舗を構えるチェーン店でも、1人で営んでいる個人サロンでも、事業を経営するとなると多かれ少なかれ何らかの悩みが付きまといます。
その中でも今回はよくある悩みを5つピックアップしました。それぞれの原因と改善策を解説していきます。
- 集客が上手くいかない
- リピート率が上がらない
- ランニングコストが高い
- スタッフが定着しない
- 経営改善まで頭が回らない
集客が上手くいかない
エステサロンなどのサービス業において、集客は売上に直結する大切な要素です。どれだけ接客やサービスに自信があっても、お客様が来店しなければ利益は出ません。
特に開業したばかりのサロンはまだまだ知名度が低いため、まずはターゲットに認知してもらうところから始めなければいけないでしょう。また、運営歴が長くなってきても、常にターゲット層は入れ替わるため、新規顧客の開拓を怠らないことが大切です。
原因
集客が上手くいかない原因はいくつか考えられますが、美容系サロンにおいては特に以下の2点が不足しているケースが多いです。
- 競合と差別化ができていない
- ターゲットへのプロモーションが足りない
近くに競合となる店舗が多数存在する場合、激しい競争を勝ち抜くためには、自身のサロンだけのオリジナリティが必要になります。また、どれだけ魅力的なお店であっても、それをターゲットに届けるためには適切なプロモーション活動をしなければいけません。
改善策
近年の美容業界においては、お店の規模に関わらず、様々なツールを用いて集客することが当たり前になっています。
- HP
- ポータルサイト
- SNS
- Web広告
以上のような媒体を用いて、お客様にアプローチしていきます。特にSNSは無料で使用することができるだけでなく、ターゲットとの距離も近いという大きなメリットがあります。
まずは他店にはない強みやコンセプトを確立し、発信していきます。ただし、コストを抑えて集客する場合、すぐに効果が表れることは少ないため、辛抱強く持続することが大切です。
リピート率が上がらない
客単価の向上や売上の安定のために大切なことは、リピート率を上げることです。
お店全体の売上のうち、およそ8割ほどはリピーターによるものだと言われていますが、反対に言えば、リピーターを獲得できないとどれだけ新規顧客を集めても、売上を伸ばすことは困難ということになります。
原因
サロンのサービスは決して安くありませんが、一度でも来店してくれたということは、美容に対して少なからずお金を払う意志があるということになります。それにも関わらず、リピートしてもらえないということは、サービスに値段相応の価値がないか、本来の価値をお客様に伝えきれていないということが原因として挙げられます。
また、多くのサロンが陥りがちな問題が、初回キャンペーンが安すぎるあまり、2回目以降が高いと感じさせてしまうということです。多少新規顧客が増えても、安さだけでファンを獲得するには限度があるでしょう。
改善策
リピート率を上げるために、接客の質や効果の高さを追求することは大切ですが、それとは別に、サロンの魅力をお客様に伝える努力をしなくてはいけません。
手っ取り早く改善できるところでいうと、クロージングが挙げられます。実際に施術を体験されたお客様に対して、きちんと再来店を後押しすることが大切ですが、詳しくはこちらのコラムで解説しています。
また、再来店時に適用される割引など、2回目以降のキャンペーンを実施することも大切です。お客様に「また来たい」と思ってもらえるような工夫は怠らないようにしましょう。
ランニングコストが高い
より大きな利益を獲得するには、売上を伸ばすだけでなく、支出を抑えることが重要です。しかし、「ある程度売上は出ているけれど、毎月のランニングコストが高い」という悩みを抱いているオーナーも多いでしょう。
- 毎月の家賃
- 人件費
- 備品の買い換え
- 消耗品の補充
これらはあくまで一部ですが、ランニングコストに圧迫されて廃業に追い込まれてしまうケースは決して少なくありません。
原因
ランニングコストを抑えるには、一つひとつのコストを抑える必要がありますが、なかなか上手くいかない場合、各コストの詳細を把握できていないケースが多いです。どの項目に削減の余地があるのかを明確にしないと、効果的な施策を打ち出すことはできません。
また、「ランニングコストを抑える」という意識を、オーナーだけでなくスタッフ全体で共有する必要があります。
改善策
総合的なランニングコストを抑えるために、まずは毎月の出費を固定費と変動費に分けて細かく抽出しましょう。
- 固定費:毎月の出費額がほぼ変わらない出費(家賃、人件費など)
- 変動費:売上など、毎月の状況によって額が増減する出費(消耗品の購入費用、広告宣伝費など)
この2つのうち、比較的削減できる可能性が高いのは変動費です。小さな工夫を積み重ねていくことで、結果的に大きな効果を得ることができます。
ランニングコストを削減する方法はこちらのコラムで詳しく解説しています。よろしければ参考にしてみてください。
スタッフが定着しない
美容系サロンに関わらず、サービス業全般の経営者に共通する悩みがスタッフの定着率の低さです。接客が伴うサービス業は身体的にも精神的にも疲労しやすく、クリーンな労働環境を維持しないと、スタッフがすぐに離れていってしまいます。
しかし、そのような状況が続くといつになってもスタッフが育たず、サロンとしても発展していきません。また、教育制度も整わず、後輩が育たないという悪循環に陥ってしまいます。
原因
- 給与が低い
- 残業が多い
- 人間関係が悪い
- 仕事にやりがいを感じられない
など、スタッフが辞めてしまうことには様々な原因が考えられますが、それら全てを短期間で克服することは難しいでしょう。
改善策
できるだけホワイトな労働環境を形成することは経営者の義務の1つですが、それだけでは不十分です。
具体的には、「従業員エンゲージメント」を高める必要があります。つまり、愛着心を育むことにより、従業員がその場所で働くことに意義を見出せる状態を作り出すということです。
そのための第一歩として、サロンとして明確な理念を形成しましょう。それをスタッフにも浸透させ、共感してもらうことで、離職率を下げることに繋がります。
同時に「このサロンに勤めることで成長できる、キャリアアップできる」と思ってもらうことがスタッフのモチベーションに繋がります。ただサロンを良くしていくだけでなく、具体的なビジョンをスタッフと共有しましょう。
経営改善まで頭が回らない
お客様一人ひとりの施術をこなしつつ、スタッフやお金の管理をしていると、経営改善のことまでなかなか頭が回らないですよね。「現在抱えている課題は見えているにも関わらず、時間がなくて改善策の実行まで至らない」という経営者は非常に多いです。
現状維持で精一杯で、なかなか店舗も育っていきません。
原因
サロンオーナーが時間がないという場合、ほとんどは現場の仕事から離れられないということが原因です。
全ての業務は、経営者しかできない業務と、スタッフでもできる業務の2種類に分けられます。しかし、その区分けが曖昧になっていることで、スタッフに引き継がなければいけない業務の優先順位が定まらず、行き当たりばったりな経営になってしまいます。
改善策
忙しすぎて経営改善に費やす時間が取れないという場合、まずやるべきなのは業務棚卸です。業務棚卸とは、サロン内における業務を全て洗い出し、スタッフ一人ひとりが何の業務にどれほどの時間を割いているかを明らかにすることです。
その過程で余計な業務や、過剰な時間をかけている業務が明らかになってきます。そのような無駄を一つひとつ解消しつつ、空いた場所にオーナーの業務を引き継がせることで、オーナーは徐々に経営に集中できるようになります。
周囲に相談するのも大切
今回紹介した項目以外にも、経営者は多くの悩みを抱えていますが、大切なのは周りの人に相談することです。不安を打ち明けたり、些細なアドバイスをもらうだけでも、大きな支えになるでしょう。
ただ、「経営者は孤独である」とよく言われるように、頼れる存在が近くにいるとも限りません。そんな時は外部のコンサルタントに依頼するというのも有効な手段の1つなので、良ければ検討してみてください。